よほど強いブランドや特定かつ盤石な顧客基盤を築いている以外は、企業にとって自社の商品やサービスを広めていくために広告宣伝活動は欠かせない。マーケティングの世界では「広告なしでビジネスを展開するのは、暗闇の中で女性にウインクして求愛するようなものだ」ということもよくいわれる。
広告は業績が良かったり、成長していたりするときには金額を増やし、逆の場合は減らす傾向がある。東洋経済オンラインは、この5年間で広告宣伝費を増やした会社のうち、上位200社をランキングにした。5年前は、ちょうど安倍政権が発足する直前の決算期にあたる。アベノミクスの恩恵を受けて積極的に広告宣伝を増やした会社ということになる。
1位はトヨタ自動車。直近の広告宣伝費は4890億円で5年前から1843億円(60%)増えた。ランキング上位には日産自動車(2位1385億円増)、マツダ(5位528億円増)、富士重工業(ランキング6位512億円増)、スズキ(ランキング10位296億円増)が名を連ねた。対象期間に円安が大きく進んだこともあり、最もアベノミクスの恩恵を受けた業種は自動車大手だといえそうだ。
このほか、ランキングのトップ10には、小売業で規模の大きい3社、イオン(3位939億円増)、セブン&アイ・ホールディングス(4位649億円増)、ファーストリテイリング(9位326億円増)もランクインした。この5年でM&Aや積極的な出店で事業規模を拡大させるとともに、広告主としての影響力も増している。
急成長企業の増加率に着目
宣伝費増加率の列に注目すると、目を見張るのはガンホー・オンライン・エンターテイメント(13位192億円増)だ。増加率は実に2553%、つまり26倍以上という計算だ。スマホゲーム「パズル&ドラゴンズ」の大ヒットがあって、この5年間に躍進した企業の筆頭だが、さらなる知名度向上を目指し、広告宣伝にも積極的だった。ランキングの宣伝費増加率の列に注目すれば、5年間に急成長を遂げた企業を探すこともできる。
ランキングは、直近の有価証券報告書(2015年5月期~2016年4月期)と、5年前(2011年5月期~2012年4月期)の双方に、広告宣伝費の開示があった企業を対象としている。対象は782社。広告宣伝費と販売促進費が分けられない場合は合算値を用いて算出。業種は一般会社のみとした。この5年間に会計基準を変更した場合も、基本的にはそのまま対象としているが、明らかに開示範囲が変わったと判断できる場合は対象から除いた。
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