安倍政権が大手を中心として企業に促しているのが、賃上げと設備投資。おカネの回りを良くすることで、日本経済を活性化させるのが狙いだ。
このうち改めて設備投資とは、建物や機械設備などの有形固定資産に資金を投じることで、企業が行う民間投資と国や地方公共団体が主体となる公共投資がある。設備投資額が大きい会社は、それだけ社会に与える影響が大きいということになる。
東洋経済オンラインは上場企業の直近本決算における設備投資額を調べ、トップ500社をランキングにした。東洋経済オンラインとしては初めて集計したデータとなる。
小社刊の『会社四季報』(2016年新春号が発売中)で集計したデータのほか、各社の財務諸表から現預金、有利子負債、利益剰余金も併載した。どんな会社が積極的に設備投資をしているのか、財務状況などと併せてご覧いただけるはずだ。
ドコモを抱えるNTTの投資額は日本一
1位は日本電信電話(NTT)。言わずと知れた国内通信のガリバーで、地域電話を独占。携帯電話、光回線で高いシェアを持っている。子会社のNTTドコモは携帯電話首位で、そのドコモ分(6位・6618億円)も含まれた連結ベースでの直近本決算における設備投資額は1兆8175億円に及んだ。
2位はソフトバンクグループ。日米の携帯電話事業を核にインターネットへ展開しており、ヤフーやスーパーセルなどを傘下に抱える。直近本決算における設備投資額は1兆3548億円だった。
3位はトヨタ自動車で1兆1774億円、4位は国際石油開発帝石(9570億円)、5位には日立製作所(6618億円)が続く。通信会社や電力会社、世界中に巨大な工場を構える製造業や店舗をたくさん持っている流通系企業など、いわゆる大手の「オールドカンパニー」が上位に並んでおり、こうした企業の日本経済に対する影響力の大きさが伺える。
財務状況のほか、企業が生み出した利益を積み立て、会社内部に蓄積されている利益剰余金との関係に着目するのも興味深い。