ブリヂストンが「脱普通タイヤ」を急ぐ理由 大手4社とも戦略商品の強化に本腰
資源価格の低迷の影響により、鉱山は石炭鉱山を中心に低操業が続いている。下期には上向く想定だったが、上期同様に前年同期比5%減へと見直した。利益率のいい商品だけにこの落ち込みは収益にもろに響く。ほかに新車用タイヤでは、国内の乗用車用と北米のトラック・バス用が振るわなかった。国内の新車用タイヤが振るわなかったのは、上期に熊本地震の発生や特殊鋼メーカーの工場火災があり、完成車メーカーの減産があったため。これは各社共通して影響を受けたマイナス点だった。
今期は営業微増益見通しで最高益更新を計画していたブリヂストン。江藤彰洋副社長は「為替や原料価格など、後ろから押してもらう状況ではなくなり、真の競争力が問われている」と説明。今後は「戦略商品をしっかり売り切っていくことが重要」とした。
確かにブリヂストンの地産地消の比率は高まっている。「事業を作り込んできた」(江藤副社長)効果は現れており、今上期の営業利益率は13.3%と、前上期の12.8%からむしろ向上している。
最も減益率が大きかった横浜ゴム
ブリヂストン同様、北米のトラック・バス用タイヤで苦しんだのが、横浜ゴムだ。米国の国際貿易委員会(ITC)が、中国製タイヤに対し、アンチダンピング関税を課すと決めたことによって、関税導入前の駆け込みで大量の中国製品が流入。価格下落のタイミングで、トラック・バス用を生産する北米工場を立ち上げたのが、横浜ゴムだった。
2016年12月期の上期(1~6月)に前期比37.9%減と、最も減益率が大きかったのが、この横浜ゴムである。為替影響ばかりでなく、北米工場の立ち上げ費用がかさんだうえ、得意とするロシア市場では取引先の自動車用品小売りチェーンが倒産。貸倒引当金を積み増すことになった。さらに下期には、蘭アライアンスタイヤの買収費用が膨らみ、これが下期45億円の減益要因となる。通期でも3割減益見通しに沈んだ。
反対に、為替の影響がなければ最高益を更新できたのが、国内2位の住友ゴムだ。2016年12月期の為替のマイナス影響は106億円。全体で71億円の減益見通しとなったので、円高なかりせば、35億円の営業増益となる。米グッドイヤーとの提携もあって、もともと欧米比率は相対的に低かった。為替感応度は低く、1ドル1円の円高で3億円の減益要因と、他社に比べればインパクトは軽めだろう。
結果的に、提携解消によって制約のなくなった欧米で積極策に出るなど、海外での販売を拡大させ、上期は円高進行でも前期比5%の営業増益となった。さらにグッドイヤー株の売却特益もあり、上期としては過去最高の純益を記録。池田育嗣社長は「円高がなければ、公表数字を達成できた。販売部門ががんばって市場の状況より売っているが、それでも追いつけなかった」と悔しさをにじませた。
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