子供に教育費をかけすぎると老後貧乏になる 年収無視の「背伸び投資」に潜む危険なワナ

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冒頭で述べたサラリーマンの平均年収415万円に対する教育費の割合でみると、ピーク時には25%に上がります。収入の4分の1が教育費となるのです。さらに、理系、芸術系、医歯系なら、あるいは、2浪3浪で予備校に通ったなら、子供が2人いたなら……。家計はますます逼迫することでしょう。

教育費をかけすぎると「50歳で貯蓄ゼロ」も

さて、おカネのかかった大内家と、抑えられた田嶋家の家計状況はというと、「貯蓄額の差」に現れました。50歳時点で田嶋家の貯蓄額は、1400万円です。年収の約1割を目安に、コツコツと貯蓄してきた結果貯めることができたのです。

一方、大内家はなんとゼロ!教育費負担が大きすぎて、貯蓄にお金を回すことはできませんでした。

大内家が、自分たちの老後に不安を持っているのは言うまでもありません。50歳の時点で「貯蓄ゼロ」は相当大変な事態です。

ここから大内家はどうすべきでしょうか。やや派手である美香さんは覚悟して支出を減らし、自身もパートに出るなど家計の収入アップを図ることです。また、この事態を息子にも伝え、これまでの「投資」をムダにしないように、自覚を促すべきでしょう。

教育費をどこかまでかけるべきでしょうか。人によってそれぞれかもしれませんが、筆者は「年間の目標貯蓄額を決めて、それを達成できる範囲内に抑えること」が賢明だと考えます。

家計の年収に対する貯蓄額は、最低でも10%とすることです。子供が小さい時であれば、それ以上の貯蓄ができます。半ば親の自己満足に近い高額な習い事にお金をかけたりしないで、貯め時を意識し貯蓄を増やしていきましょう。

子供1人の教育費は、通常の家庭なら、少なくとも年収の2倍にはなるのだという現実をしっかりと見据え、「教育費貧乏」にならないように、教育への投資は計画的にしましょう。「教育費貧乏」から「老後貧乏」への道は、直結しています。

岩城 みずほ ファイナンシャルプランナー・CFPⓇ

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いわき・みずほ / Mizuho Iwaki

特定非営利活動法人「みんなのお金のアドバイザー協会(FIWA)」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、お客様の利益を最大限に、中立的な立場でのコンサルティングほか、講演、執筆を行っている。
慶応義塾大学卒。NHK松山放送局を経て、フリーアナウンサーとして14年間活動後、会社員を経てFPとして独立。著書に増補改訂版『人生にお金はいくら必要か』(山崎元氏と共著・東洋経済新報社)、『やってはいけない!老後の資産運用』(ビジネス社)、『「保険でお金を増やす」はリスクがいっぱい』(日本経済新聞出版社)、『結局、老後2000万円問題ってどうなったんですか?』(サンマーク出版)ほか多数。HP

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