ならぬものはならぬ?TPPに揺れる自民党 日米首脳会談後、自民反対派は怒り心頭

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同日夕に開かれた産業競争力会議で、民間議員から「TPP参加で守りの農業から攻めの農業に転換を」など、安倍首相の決断を支持する意見が出たのと比べると、好対照の反応を見せた。

オバマ大統領と安倍首相が交わした日米共同声明では、「一定の農産品」という聖域(センシティビティ)の存在を確認し、最終的な結果は交渉の中で決まっていくこと、そして、TPP交渉参加に際し、一方的にすべての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められない、という点が確認された。

わかりにくい声明

そのうえで、日米間においては自動車と保険の2分野で今後協議を続けていくことも記された。米国は日本の軽自動車税や車検のあり方、かんぽ生命の新規業務などを問題にしているとされている。

ただ共同声明では「自動車部門や保険部門に関する残された懸案事項に対処し、その他の非関税措置に対処し、およびTPPの高い水準を満たすことについて作業を完了することを含め、なされるべきさらなる作業が残されている」となっており、具体的な中身がよくわからない。自民党内の会合でも「どういう意味か」などと文意を問いただす意見が相次いだが、政府側は「声明文以上のことは答えられない」の一点張り。外交上、秘密にすべきことがあるとはいえ、TPPに関する情報不足が反対派の怒りに油を注いでいる。

27日には、石破茂幹事長や安倍首相側近の加藤勝信・官房副長官らが出席し、自民党でTPP問題を扱う外交・経済連携調査会(衛藤征士郎会長)が開かれ、2時間近い議論の末、農林水産品の関税や自動車の安全基準、国民皆保険などの「守り抜く国益」を明記した決議を採択した。衛藤会長は「あえて重く、きつめの決議を行った」と話すが、この決議が安倍首相の判断や仮に参加した場合のTPP交渉をどこまで縛るのか、おぼつかない。

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