東芝、早速の「上方修正」でも続く綱渡り経営 株主資本比率はまだ1ケタ台にとどまる
「株主資本は非常に厳しい」――。東芝の平田政善CFO(最高財務責任者)は、好決算にも関わらず神妙な面持ちで話し、まだ厳しい状況であることを強調した。
東芝は8月12日、2017年3月期第1四半期の決算を発表した。売上高は1兆2074億円(前年同期比1.9%減)、営業利益は201億円(前年同期は65億円の赤字)と急改善した。
売上高は円高のあおりを受けたほか、テレビやPC事業の販売台数の大幅な絞り込みにより減収となったものの、営業利益は黒字転換を果たした。前期の7191億円の巨額営業赤字からV字回復を目指す東芝にとって、好スタートを切ったように見える。
業績改善の主要因はリストラ効果
だが、利益改善の主要因は、前期までに実施した1万人を超える人員削減や赤字事業の撤退など、構造改革と賞与減額による効果が大きい。この2つで562億円、営業利益を押し上げている。平田CFOは「想定よりも多くの方が辞められている」と話し、リストラ効果が出ていることを説明した。
肝心の事業面はどうか。電力関連やインフラなどで改善を見せたものの、東芝の収益を支える半導体のNAND型フラッシュメモリ(フラッシュメモリ)は円高の影響を受け、前期から営業利益で256億円悪化し、173億円となっている。第1四半期だけをみれば、構造改革が大きく寄与した格好だ。
冒頭の平田CFOの発言のとおり、株主資本比率も依然として厳しい。2016年3月末の6.1%からは着実に改善しているものの、6月末で7.0%にとどまっている。改善度合いが鈍かったのは、円高により、海外子会社にかかわる資本の目減りが発生してしまったからだ。
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