「円高の勢い」が途切れるときはいつなのか 米国のファンダメンタルズを再評価すべき

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一方、日本はどうか。大きな話題こそなっていないが、マイナス金利の「負」の影響が出始めている可能性がある。マイナス金利の影響で、年金の積立不足が報道されたが、それならば生保や他の機関投資家はどうなのであろうか。当然、同様の影響を受けているはずだ。

一時は20年債までマイナス金利となったが、これでは予定利率での運用は極めて困難なはずだ。そのうち、中小金融機関の経営困難が報道される日も近いのではないだろうか。

9月の「総括的検証」がどうなるのか、それはいまのところわからない。だが、多くのアナリストは同時に更なる金融緩和に踏み込むと考えている。先の日銀会合では、最も採用しやすいETF増額のみが採用されたが、量に関しても、質に関しても、これ以上何か効果的政策があるのか、やや疑問である。しかし、更なる金融緩和が有ろうが無かろうが、運用先を失っている以上、外に滲み出るマネーが出てくる可能性がある。

ファンダメンタルズでは米国の優位が目立つ

米国経済に対する悲観がやや行き過ぎだとすれば、現状の米10年金利1.5%台が少しずつBrexit前の1.7-1.8%方向にシフトするだけでも、その分ドル安圧力は緩和してくるのではないだろうか。そして、日本の機関投資家が困難な状況に置かれていることが次第に明らかになり、運用先を求めて外に資金が出始めれば、ドル円のサポートもしっかりしてくるはずだ。

なにより、大統領選挙というイベントはあるものの、冷静にファンダメンタルズのみを考えると、日本や欧州(除くドイツ)と比べ、米国の優位が際立っている。

円高トレンドが完全に終わるかどうかわからないが、一気に100円を割り込んで円高が進むというより、100-105円程度の揉み合いが続くのではないだろうか。そして大統領選後まで考えると、(クリントン氏当選を前提に考えると)米利上げが完全に視野に入ってくる。米利上げが既定路線となってくれば、トレンドも変わってくるだろう。

志摩 力男 為替トレーダー

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しま りきお

慶應義塾大学経済学部卒。ゴールドマンサックス、ドイツ証券等でプロップトレーダーを歴任。その後、香港にてヘッジファンドマネージャー。独立した後も世界各地のヘッジファンドや外銀トレーダーと交流があり、現在も現役トレーダーとして活躍。なお、株式会社GOGOJUNGLE では、Fintech eCommerce 総合サイト「fx-on」を運営。志摩氏のほか武者陵司氏など総勢30名を超える著名アナリストが集結。志摩氏の「実戦リアルトレード」など、国内最大規模を誇る投資Salonを展開しつつ、システム・トレーダー向けエキスパート・アドバーザーなどの販売も手掛ける。

 

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