「円高の勢い」が途切れるときはいつなのか 米国のファンダメンタルズを再評価すべき
米国サイドを見てみると、8月5日(金)に発表された7月米雇用統計は文句のつけようのない良い数字であった。5月米雇用統計の数字が極端(2.4万人の雇用増)に悪かったことと、4-6月米GDPが予想を大きく下回る悪い数字(+1.2%、予想+2.5%)だったことから、筆者を含め米経済に対しやや悲観的な見方が強かった。
しかし、2カ月連続して20万人台後半の雇用増を達成し、次に8月雇用の数字も良ければ、最近良く使われる3カ月平均も20万人台の強い数字となり、利上げが十分視野に入る状況となる。Brexit後に米長期金利はかなり低いところまで低下しているが、債券市場の見立てが少し弱気すぎるかもしれない。
米国株は機関投資家にとっては「オアシス」
また、世界中で多くの債券がマイナス圏に沈み、機関投資家が安心して運用できる場所がなくなってきている。こうした時、高配当米優良企業の株は、投資先としては魅力的だ。倒産リスクが殆ど無いように見える優良企業の株で、配当が3~4%あるものを探すのは難しくない。米国株は、割安とは言えないが、機関投資家にとって「オアシス」といえるかもしれない。
今後、米大統領選挙が佳境となり、クリントン氏、トランプ氏、双方の経済政策に焦点を当てた分析が盛んになるだろうが、両者ともに、為替政策的にはドル安志向が強いので、大統領選そのものがドル安材料と見る向きも多い。
しかし、大統領選での主張がそのままホワイトハウス入り後も実行されることも少ない。特にトランプ氏は、どの政策も実行性に疑問があり、本当に大統領になった時には違う政策を採ってくるかもしれない。
またなにより、米国の政治システムでは、最大与党の代表者が首相となる議院内閣制と違い、議会が大統領の影響を直接受けないので、トランプ氏のトンデモナイ政策がそのまま法案となる可能性は低い。
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