「中国株と連動性が低い100社」ランキング 1年前の「元切り下げ」は世界を震撼させた

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投資家の心理が楽観的な時こそ、市場に潜むリスクへの意識を高めておく必要がある(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

8月2日に閣議決定された政府の経済対策は、財政投融資などを合わせた事業規模が28.1兆円と過去3番目の大きさとなった。デフレ脱却を目指す政府の強い姿勢が示されたとの評価から、株式市場では投資家の楽観的な見方が強まっている。資産運用の業界では、楽観的な心理が株式市場に広がっている状況を「リスクオン」と呼ぶ。現在の市場は、政策期待を背景とした強いリスクオンの状態にある。

しかし、このような時こそ、懸念材料への目配りを忘れてはならない。なぜならば、リスクオンの状態では、投資家は潜在的なリスクから目をそらしがちだからだ。このため実際にリスクが顕在化すると、株価へのネガティブなインパクトが大きくなる傾向がある。

伏在する中国発の株価下落リスク

では、具体的に今、懸念材料にはどのようなものがあるのか? Brexit(英国のEU離脱)に関する不透明感や、地政学リスクなどはいったん遠のいたといえるかもしれない。だが足元では、中国発の株価下落リスクを指摘しておきたい。その理由のひとつは、米国での利上げの流れが変わらないと見られるからだ。米国の利上げは、円安要因になるため、わが国の輸出企業にとってプラスとなる。しかし、世界的なおカネの流れの面では、あまり良いとはいえない。米国債の利回りが魅力的となれば、これまで中国などの新興国に投資していたおカネが米国債へと向かってしまうからだ。

中国経済の実態を見ると、景気減速や成長率鈍化との見方が強まっている。7月15 日に発表された4~6月の実質 GDP 成長率は前年比+6.7%となり、前四半期(1~3月)から横ばいだった。公共投資が下支えているものの、民間投資の減速は強まり、個人消費も弱まっている。中国景気の減速は人民元相場にも表れている。前述した新興国市場から米国に向かう資金の流れは、人民元安の要因となるが、さらに「中国景気の減速→元安」という動きも懸念される。

ちょうど1年前の2015年8月11日、中国人民銀行は突如として人民元切り下げを発表した。中国景気がよほど厳しいのではないかとの見方から、中国株は急落し、日本株を始めとして世界の株式市場は連動安のパニックとなった。そこで今回は、中国株の下落と連動性が小さい銘柄をランキングした。過去120日の中国株の変動率に対して、連動性が小さかった銘柄である。市場が楽観に傾いている今こそ、中国株リスクに底堅い銘柄として注目したい。

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