三菱重工、赤字客船が手離れしても霧晴れず 同業のIHI、川崎重工にも想定外の逆風
前2016年3月期は「損失」ラッシュとなった総合重機大手。仕切り直しで今期に臨んだが、第1四半期(2016年4~6月期)決算では通期業績予想の下方修正が相次ぐなど、出鼻をくじかれた格好となった。
業界首位の三菱重工業は前期、欧州クルーズ会社向け大型客船2隻の建造工事で1039億円の追加損失が発生し、業績の足を引っ張った。2011年に受注した後、設計のやり直しなどで工期が大幅に遅延していた建造工事だが、今年3月に1番船を引き渡し、2番船も今期中に完成する見通しだ。
第1四半期の赤字は7期ぶり
今期は数年来の「悩みの種」がようやく手離れするが、第1四半期は経常損益が166億円、最終損益が121億円の赤字に陥った。同四半期に赤字となるのは、リーマンショック直後の2009年以来7期ぶりのことだ。円高が進んだことによる為替差損や、6月末まで持ち分法適用会社だった三菱自動車の業績悪化に伴い、持ち分法投資損失を計上したことが響いた。
期初から円高が進んだため、三菱重工は2017年3月期予想の前提となる為替レートを、1ドル110円から105円、1ユーロを125円から115円へ、それぞれ見直した。これに伴い、通期業績予想を売上高4兆3000億円(修正前4兆4000億円)、経常利益2800億円(同3300億円)、最終利益1000億円(同1300億円)へ引き下げた。
今期は収益柱の火力発電向け大型ガスタービンが順調なことなどから、下方修正後も増収増益を確保する見通し。三菱自動車についても、持ち分適用会社から外れたため、第2四半期以降、業績への影響は限定的となる。ただ、「中国など新興国の景気低迷で製鉄機械や、米国の石油・ガス開発投資の低調でコンプレッサーが減速気味」(小口正範CFO)と、円高以外にも不安材料を抱えている状況だ。
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