オリックスが大型買収、完全復活への一里塚 危機対応終え、欧州企業を傘下に

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期待と不安が交錯

リーマンショックでオリックスは大きな痛手を受けた。

成長スピードを高めようと不動産事業などを拡大したところに「百年に一度」の世界経済危機の直撃を受けた。株価は06年の最高値3万8150円から09年初頭に1707円まで急降下。CPなど直接金融への依存度が相対的に高かったことも災いし、資金繰り不安を喧伝されることもあった。

しかし、不動産を中心に資産圧縮を進めつつ、アジア・米国中心の海外事業や国内の生命保険、カードローン事業などを強化。13年3月期の予想純益1100億円は、危機直後の09年3月期比で5倍強になる。

19日の会見後に宮内会長が「やっと危機対応を終えた」と語ったように、ロベコ買収はオリックスが平時に戻ったことを意味する。とはいえ、一気に攻勢に転じるかというとそう単純ではない。

12年春にオリックスの格付けを、投資適格では下から2番目のBaa2に2段階引き下げたムーディーズに代表されるように、資本市場からの全幅の信頼は戻っていない。それだけにさらなる大型買収を期待する質問に対して「安定を志向する格付会社と、成長を求める株主などとのバランスが必要」との慎重な表現にとどめざるをえなかった。

発表翌日の20日、オリックスの株価は250円、2.4%上昇した。一方、財務の安定性を重視するムーディーズやS&Pは中立的と様子見を決め込んだ。「買収対価の大宗をのれん計上し減損リスクはあるものの、収益貢献や事業シナジーなども見込めるため、ネガティブにとらえる必要はない」(みずほ証券金融市場調査部の坂本太郎クレジットアナリスト)。市場の見方は、期待と不安が半々である。

それでも今回の買収を経て、オリックスの「術後の回復」は確実に進む。ロベコが安定的に利益を生めば、おのずと財務体質も改善する。オリックスがグローバル企業の条件とするROE10%が近い将来の射程に入ってくる。

「売り物は水面下でまだ多い」との言葉どおり、宮内会長も本音ではM&Aによる事業拡大へアクセルを踏み込みたいはずだ。一代でオリックスを有数の金融コングロマリットに育て上げた辣腕経営者は、もうしばらく辛抱する必要がある。

(撮影:今井康一)

(週刊東洋経済2013年3月2日号

大西 富士男 東洋経済 記者

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おおにし ふじお / Fujio Onishi

医薬品業界を担当。自動車メーカーを経て、1990年東洋経済新報社入社。『会社四季報』『週刊東洋経済』編集部、ゼネコン、自動車、保険、繊維、商社、石油エネルギーなどの業界担当を歴任。

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