女子大生は、なぜ「売春」せざるをえないのか 「大学は最悪の"組織的詐欺"を行っている」

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

鈴木:まず、学校教員には自省してほしい。自分たちがしっかりしないと、子どもたちが将来つらい目に遭うと。また、多くの人、とくに親が教育というものについて懐疑的になってほしい。僕はFラン大学の卒業生を取材して、けっこう就職率が高いことに驚いた。でも、劣悪な就業先が多くて、「この大学に何百万円も投資して、ブラック企業に就職かよ。それって意味あるのか」って、そういう懐疑を共有したい。

中村:教育もビジネスと同じ感覚で損得勘定をすることが絶対に必要。飲食店や介護施設といったサービス業は高卒でも入れるわけだから、借金して大学に投資する意味がない。

「学校はビジネスでウソをつく」ことを知るべき

『貧困とセックス』は8月10日発売(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

鈴木:そして、親は「学校はビジネスでウソをつく」ことを知ること。学校だから正しくてウソをつかないということは絶対にありません。学校の評価に資格取得率が何%というのは関係ない。その資格を取った人が、その資格を生かせる職業に何%が就けているのかが評価基準でしょう。

中村:みんな資格にしか流れないよね。特に貧困家庭のまじめな子が資格に走るイメージがある。でも、弁護士や歯科医でも食いっぱぐれる時代に資格を取るなんて時間のムダ。さらに資格の怖いところは、職業の選択を狭めること。取得した資格を捨てる覚悟がないと、ほかのことにチャレンジできないでしょう。

鈴木:キラキラしたオブラートで無計画を包んで売りつける高利貸したちが世の中にいっぱいいるということです。そう考えたら、教育も住宅業界やカードローンと同じ臭いがする。キラキラを見せて、お金を貸す。最近は消費者金融の過払い金の問題がずいぶん注目されましたけど、それこそキラキラできなくなったら、大学に対して「学費を返してください」と言う権利があるんじゃないですか?

中村:高校の先生と進路指導の先生が何年何月何日に「君の未来には夢がある」とウソをついたとか、大学が発表している就職率の内訳は労働基準法違反が常態化するブラック企業だらけだったとか、法律をこねくり回して因縁をつければ、「カネ返せ」のロジックが成り立つかもね。

鈴木:それこそ大学も授業料を取るのなら、満足のいく就職ができたら後払いでもらうというシステムにしたらいいのに。成功報酬は一般社会では普通の話ですから。なぜか教育だけが崇高なところとされて批判から逃れているのは気に食わないです。

中村 淳彦 ノンフィクションライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

なかむら あつひこ / Atsuhiko Nakamura

貧困や介護、AV女優や風俗など、社会問題をフィールドワークに取材・執筆を続けるノンフィクションライター。現実を可視化するために、貧困、虐待、精神疾患、借金、自傷、人身売買など、さまざまな過酷な話に、ひたすら耳を傾け続けている。著書に『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)、『私、毒親に育てられました』(宝島社)、『同人AV女優』(祥伝社)、『パパ活女子』(幻冬舎)など多数。Xアカウント「@atu_nakamura」

この著者の記事一覧はこちら
鈴木 大介 ルポライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

すずき だいすけ / Daisuke Suzuki

1973年、千葉県生まれ。「犯罪する側の論理」「犯罪現場の貧困問題」をテーマに、裏社会や触法少年少女ら の生きる現場を中心とした取材活動 を続けるルポライター。近著に『脳が壊れた』(新潮新書・2016年6月17日刊行)、『最貧困女子』(幻冬舎)『老人喰い』(ちくま新書)など多数。現在、『モーニング&週刊Dモーニング』(講談社)で連載中の「ギャングース」で原作担当。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事