女子大生は、なぜ「売春」せざるをえないのか 「大学は最悪の"組織的詐欺"を行っている」

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中村:いまの風俗業界から貧困女性のセーフティーネットとしての機能が失われているのは、女子大生みたいな子たちが参入したから。奨学金問題は共産党や社民党に伝わったことで一般の人たちも知るようになったけど、奨学金返済のために女子大生たちが風俗で働いているって誤解されがち。奨学金の返済が始まるのは卒業して半年後から。社会の欺瞞(ぎまん)のようなものを理解している頭のいい子ほどカラダを売る。逆に、ポエムのようなものを信じる層ほど返済が始まってから現実に気づいてパニックになる。

鈴木:愛人クラブや交際クラブ系の取材でもまったく同じ話を聞きます。頭のいい子は在学中、頭の悪い子は卒業後に就職できなかったり所得が低かったりして、あとから参入してくる。だから、愛人クラブ業界では22歳までの子に客が集中するとか。

中村:頭のいい子ほど、風俗で働くことを早く決断する。根拠なく明るい将来を夢見て奨学金をフルで借りてしまう子は下位大学に通う「意識高い系」で、社会で活躍するという夢があるから前向きな気持ちで借金しちゃうわけ。上位大学の頭のいい子は社会の欺瞞と現実を見つめながら、価値が高い段階で裸になって、Fラン大学のポエム好きの子が「風俗嬢なんて汚らしくて恥ずかしい人たち、私たちと一緒にしないで!」みたいな差別をしている構図がある。

鈴木:子どもと教育をお金稼ぎの的にした結果ですね。明らかに「大学全入」という方針を取るところがおかしい。そんなことを考えていると、職能教育は何歳からできるんだろうと思う。少なくとも中学を卒業するぐらいになったら、その子の職業適性がわかる。インターン制度もある中で、職能の発掘に専門性を持った人間が子どもの適性を見きわめて本人や親と相談することのほうが、よほど重要ではないかと僕は思います。

「ポエム」に支配されてしまった若者と教職員

中村:職能教育は、昔と比べれば「している気」になっているよ。学生をターゲットにしたインターンや研修とかたくさんある。「夢」という言葉が浸透して、東日本大震災が原因でポエムを信奉する若者が激増して、それが本格的に拡散されてしまった。職能教育のような将来への準備が具体性のないポエムに支配されて、行政や教職員まで洗脳されてしまっている。

鈴木:まだ世間を知らない学生にリアリティーのないキラキラした就業のイメージを「私たちの輝く未来」といったポエムをつけて見せる。そんなもん、カルトや自己啓発セミナーと何の差があるのか。それは職能教育でも何でもないですよ。

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