民進党代表選、蓮舫氏に吹く強すぎる追い風

政界のムードは急激に「女性」に傾いている

9月2日告示・9月15日投開票の民進党代表選には、すでにさまざまな動きがある。長島昭久衆院議員はいち早く8月1日に出馬の意向を示し、20人の推薦人集めに着手した。

ただその道のりは険しいようで、長島氏は8月5日午後1時にはツイッターに「連日推薦人集めに奔走。現状認識は一致するものの肝心な争点への賛同は得られ難い現実を再認識。固より困難な道程は覚悟の上」と書き込んでいる。

蓮舫氏も出馬表明に先立って周囲への根回しを開始。8月1日には赤松広隆前衆院副議長と川端達夫衆院副議長に会い、協力を求めている。赤松氏は旧社会党系の“サンクチュアリ”を率いており、川端氏は旧民社党系の重鎮だ。また蓮舫氏は8月3日には細野豪志元幹事長とも意見交換している。“自誓会”を率いる細野氏はすでに8月2日に代表選出馬に慎重であることを表明しているため、蓮舫氏にとって是非協力を求めたい相手である。

蓮舫氏に溢れる自信、有力な対抗馬は?

そんな蓮舫氏の有力な対抗馬と噂されるのが、玉木雄一郎衆院議員だ。実は玉木氏は2014年12月の衆院選の後、落選した海江田万里前代表の後継を巡る代表選に出ようとしたこともある。

玉木氏は当選1回と2回といった当選回数が浅い議員に呼びかけて会合を開こうとしたが、大雪のために飛行機が欠航して鈴木貴子衆院議員が欠席するなど、集まりはよくなかった。また中心となった後藤祐一氏も、所属する“自誓会”の会長である細野氏が代表選に出馬の意欲を見せたため、股裂き状態になっていた。

しかし今回はいささか情勢が違う。蓮舫会見が終わった直後の午後4時から、衆院第1議員会館の玉木氏の事務所で10名余りの記者との懇談が開かれていた。

「蓮舫さんが富士山なら、私はエベレストから飛び降りる覚悟かな」

おどけて口にするその言葉に、出馬の意欲がにじみ出る。代表選の最大の争点といわれる野党共闘路線については、「参院選を振り返っても、1人に絞りこむのは与党に立ち向かう上で効果があった。ただ長期的に我々が政権を担う上で、単独で戦うのが筋だ。(野党共闘は)もう一度整理しなおすべきだろう」と“玉木路線”を提唱。共産党についての岡田・蓮舫ラインと一線を画している。

そんな玉木氏を強く意識しているのだろう。蓮舫氏は出馬の挨拶に玉木事務所を訪れた時、玉木氏に強く出馬を勧めている。

それは自信の表れでもあると解することもできる。政界は安倍政権の1強多弱だが、民進党内は代表選で蓮舫氏の1強多弱という現状だ。実は2015年の代表選で、蓮舫氏も代表選に意欲を見せたことがある。この時は20人の推薦人を集められなくて断念したが、今回はその障壁も楽々乗り越えられる。ただ不戦勝では党勢は盛り上がらない。さらにいえば、女性候補は男性の障害があってこそ、その勝利は輝かしいものになる。アメリカ大統選でドナルド・トランプ氏と対峙するヒラリー・クリントン氏しかり、東京都知事選で自民党東京都連と闘った小池氏しかりだ。

「最高ですね。女性がもっともっと出てほしいと思います」

出馬会見で女性政治家の活躍について記者に聞かれ、蓮舫氏は笑顔でこう答えている。早すぎると言われる出馬表明も、“先出しジャンケン”で都知事選を勝ちぬいた小池氏を意識したものと考えれば理解しやすい。

ただしどんでん返しの可能性もある。党内最大の23名を擁する旧維新の党グループの動きだ。同グループは8月3日の会合で「徹底した行財政改革を掲げる候補の擁立」を決定し、適当な候補がいない場合は江田憲司代表代行を擁立することにしたが、その江田氏は玉木氏に接近している。同グループの松野頼久氏は前原誠司氏に近いが、前原氏はまだ出馬を表明していないため、同グループが玉木氏に支援を1本化する可能性も否定できない。

蓮舫氏の出馬会見により、民進党代表選は事実上火ぶたを切った。この代表選が果たして党の再生に繋がるのかどうか。それを担うのは蓮舫氏なのかどうか。いずれにしろ政界のキーワードはここしばらく、“女性政治家”になるに違いない。
 

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