鴻海いまだ出資せず、シャープの"異常事態" 中国当局による独禁法審査が長期化している

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「鴻海の幹部に『売り上げを生まないあなたたちはいつでも転職してくれて構わない』などと言われる」(40代男性社員)。現在シャープは希望退職を募集していないが、50代前後の管理職層の辞職が増えているという。「鴻海の社員は無理難題を押し付け、退職に追い込んでくる」といった声が聞かれる。

一方、鴻海では日本語に堪能な人材を中心に、シャープ改革の実行部隊採用に動いている。「日文人力資源主管(対日の人事の責任者)」、「日文財務會計與投資主管(対日の財務・会計・投資の責任者)」といったポストが台湾の人材サイトで募集され、採用人数は「不限(制限なし)」だ。

考えられる2つのシナリオとは?

今後の焦点は、出資期限の10月5日までに独禁法の審査に通り、出資が完了されるのか。期限を過ぎた場合に考えられるシナリオは二つだ。

一つは期限の延長。ただ、シャープの株価は鴻海が取得する予定の88円を割り込む87円を一時つけ、90〜92円をうろついているため、条件の見直しを迫られる公算はある。

もう一つは液晶事業のみの買収だ。瑕疵(かし)のない理由で出資できなかった場合、鴻海にこの選択肢も契約で認められている。ただ、液晶事業が審査長期化の理由なら、同様に審査は長引く。「人員や生産ラインに余剰感のある液晶事業は適正価格の算定が難しいという問題も出てくる」(みずほ証券の中根康夫アナリスト)。

結論が遅くなるほど、シャープは疲弊し、浮上が難しくなる。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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