韓国社会が大揺れ、「接待文化」と決別できるか

劇薬「金英蘭法」が突き付ける究極の選択

大統領官邸の青瓦台(右下)と合同庁舎(左)。韓国銀行総裁や朴大統領も憂慮を表明するなど、金英蘭法をめぐって韓国社会は揺れている(筆者撮影)

「韓国接待文化を変える台風が来る」(朝鮮日報、2016年7月29日)「3・5・10時代 韓国式接待の終焉」(中央日報、同)「9月28日から低廉社会」(京郷新聞、同)‥‥。7月28日、韓国の憲法裁判所は「不正請託および金品など授受禁止に関する法律」、通称「金英蘭(キムヨンラン)法」は合憲である旨の判断を下し、韓国社会は再び騒然となっている。

「金英蘭法」は2011年、公務員の不正な金品授受を防ぐ目的で金英蘭元国民権益委員長が提案し推進したことから、その名で呼ばれるようになった。2013年7月に国会に提出され、2015年3月、国会本会議を通過。同月末には朴槿恵大統領により裁可された。

国会を通過した直後から韓国社会は喧々囂々の大騒ぎに。それというのも、原案にはなかった規制対象者がマスコミ関係者、私立学校教員にまで拡大されるなど国会審議の過程で内容が大幅に変更されたためだ。これに対し、大韓民国弁護士協会、韓国記者協会などが憲法裁判所に違憲の審議を求めていた。

規制対象者はマスコミ、私学教員にまで拡大

憲法裁判所に提出した争点は、マスコミと私立学校教員を規制対象者として法を適用させたことは合憲か、そして、金品授受などの処罰の基準を施行令に一任したことは正しいかなどだ。 

原案では、規制対象者は中央・地方すべての公職者と公企業、国公立の教職員とされていたが、社会に与える影響力が大きいという点から記者などマスコミに携わる従事者と私立学校教員、その配偶者が追加された。これにマスコミ関係者らが反発したが、国会議員が対象から除外されていることで批判はさらに高まった。また、規制対象者が民間人にまで広げられたことで、公職者の不正を防ぐという目的があいまいになったと指摘されている。

公職者などが1回100万ウォン(約9万2000円)、年間合計300万ウォン(約27万円)を超える金品や接待を受けた場合、職務との関連性と代価を問わない場合でも処罰できるようにしているが、会食費3万ウォン(約2760円)、贈り物5万ウォン(約4600円)、慶弔費など10万ウォン(約9200円)と金額の上限などを施行令に一任しており、これが違憲ではないかとの指摘。そして、これにより韓国経済に与える損失が莫大なものになるという声が上がっていた。

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