さて、本日も長い“ちなみに”を炸裂させてしまったが、香港のエリートどころのご子息は総じて中国語と英語を完全に操るのみならず、高校時代から オーストラリアやカナダ、イギリスに留学させてもらっているケースが多い。香港のセントラルや九龍の駅を歩いていても“英国留学”“オーストラリア留学試 験補助”などの広告が、所狭しと場所を奪い合っている。
私の香港や台湾など中華圏の友達で、ハーバードやペンシルヴァニア大学ウォートン校に留学していた友人が一同に言うのは、最近は日本人が全然いなくて、中国人やインド人、韓国人ばかりだということだ。
日本国内でも、日本人の海外留学生が激減している現状が問題視されているが、家計の平均所得が過去10年で10%以上下がったとはいえ、円高でドル建て給与は30%程度増加しているはずだ。日頃の投資業務で日本企業の海外進出支援がいかに重要性を増しているかを実感しているだけに、日本の若者の国内志向は重大なインプリケーションをはらむ。日本の若者が次の一手でいちばん海外に出ていかなければならないときに、縮小する国内でしのぎを削ることを選んでしまっている(ないし選ばざるをえなくなってしまっている)のだ。
日本の若者の留学が減っているって本当?
ところでこの日本の若者の海外志向が減退しているというのは、私の肌感覚に合わない。慶応大学のゼミ生の後輩を見ていると、カナダ行くわ、アメリカ行くわ、中国行くわ、香港行くわ、シンガポール行くわで、石を投げれば、というか、石を投げなくても留学経験者か留学準備中の学生にブチ当たる。
2年生の春休みにインターンでホーチミンや大連で働いてました、という人やボランティアでカンボジアやケニアで夏休みを過ごしました、といった国際志向の学生の数が格段に増えている気がする。私が就職相談にのるゼミの後輩たちも(彼らは就職相談のときだけ礼儀正しくかわいげがあるのだが、受かった後 は茶菓子一つすら用意しない)総じて早くからの海外勤務を志望しており、海外留学と海外転勤を視野に入れている学生が大半である。
実は最近、京都にある宇宙一の名門校・洛星高校のホームページを訪れたのだが、あの“ドメスティック京都の世間知らず医者の息子お坊ちゃん学校”にして、ハーバード大学訪問ツアーなど、グローバルカリキュラムがえらく増加していた。
この“海外志向は高まっている”という肌感覚とマクロのデータのギャップに何が起きているのだろうか。
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