「小池知事」で日本株が急落するかもしれない 安倍政権と「劇場型政治家」の危険な関係
関西学院大学を中退してカイロ大学に入ったという履歴は、行動力に並々ならないものを感ずる。だが、一方で政界のスタートからして、危険な匂いのする人だった。初登院したとき、敢えてサファリルックで登院し「国会議事堂の中は猛獣や珍獣だらけだと聞いていたから」と見栄をきったりして、自分を目立たせることは確かにうまかった。このタイプは、劇場型政治に腐心して目的合理性の追求を疎かにする傾向がある。
自民党公認でないからしがらみがないとか、クリーンだとかいうイメージだけでは、都政は統率がとれない。クリーンが売り物だった三木武夫元首相がほとんど何もできなかったことを思い出す。新都知事は都議会をブラックボックスだと非難して来た。その都議会に入って行くのだから大変であろう。
「透明化する、見える化する」と言うが、暴露趣味と誤解されたり混乱を招いたりしたら本末転倒になりかねない。例えばゴルバチョフ元大統領は冷戦終結とソ連解体に大いに貢献したが、グラスノスチ(情報公開)を叫び続けて混乱させ、エリツィン氏が引き継ぎ、結局のところ、新生ロシアは「ヤミ成金とギャングと貧困の街」になったのである(その最中に、筆者はモスクワとサンクトぺテルブルクに行って見た)。KGB出身のプーチン大統領がこれを暗闘と力技で治めようとして、無理が生じていると筆者は考える。
安倍晋三首相が小池都知事の誕生を予感して、あえて増田寛也氏の応援を見送った。これはあとに官邸と知事との溝ができることを避けたためだろう。長州出身政治家の聡明さ(狡猾さ?)だった。
安倍政権と都知事の関係が悪化すれば「株価急落」も
実際、政権側は新都知事と不仲を続けられない事情がある。東京五輪は時の政権の顔であるとともに「新都知事の顔」でもあるからだ。アベノミクスの仕上げにしても、五輪の成功を織り込むことになっているのである。政権と都知事との関係修復は急務だが、新都知事は上記の通り一筋縄で行かぬ政治家だから容易でないだろう。
以上のことは株式、為替市場にも直接に影響するのである。もし政権の支持率が落ちると、株価にも為替にも影響を及ぼす。特に海外の投資家は政権の支持率を注視している。小泉元首相が上述のように田中真紀子氏を更迭したとき、小泉内閣の支持率が一時急落した。それは、庶民宰相の娘、庶民好みの女性政治家をクビにしたからだ。2002年の出来事であった。
小泉元首相が危機を脱したのは、北朝鮮という外部要因へ大衆の目を向けさせたからであった。同年9月の電撃訪問である。これから小池新都知事がどんな行動をとるのか。個人投資家なら、ぜひ目をそらさないでいただきたい。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら