損保ジャパン、戦争やテロから社員守る保険 退避勧告出る前に「アドバイス」も

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日本企業も巻き込まれたアルジェリアでの人質事件は悲惨な結末を迎えたが、中東では2011年のエジプトを発端に、民主化を求める革命や戦争、イスラム原理主義勢力によるテロが多発している。アジアや中南米でも治安の悪化が深刻化している。

こうした中で、損害保険ジャパンでは、「事件に巻き込まれないことを目的としたアドバイスへのニーズが高い」(松川賢治・企業商品業務部賠償保険第二グループ課長代理)と判断。戦争や革命、テロなどの政情不安の際に、海外進出している企業が従業員を現地から緊急避難させるための費用を補償する、「政情変化対応費用保険」の販売を開始した。英国社による事前相談サービスも付帯した保険となっている。

保険期間は1年間で、支払限度額は3億円以下。かかった費用のうち95%を補償する。あくまで試算だが、駐在員数が100人、延べ年間出張人数が500人、支払限度額1億円(縮小てん補割合95%)の場合、年間の保険料は190万円(アジア中心の場合)となる。

外務省の退避勧告前に英社から無料アドバイスも

従来の「海外旅行傷害保険」が病気やケガなどの治療や救援費用などを補償するのに対して、損保ジャパンの「政情変化対応費用保険」は、緊急避難にかかった費用(チャーター機の費用や宿泊費、帰国のための交通費、就業不能期間の給与など)を補償する。

また、日本の外務省から退避勧告などが出される以前に、世界有数のアシスタンスサービス会社である英コントロール・リスクス・グループから、治安情報や避難方法などのアドバイスを無料で受けることができるのも大きな特徴だ。

なお、損保ジャパンはグループ企業のNKSJリスクマネジメントを通じて、世界のリスク情報を提供するサービス「NKSJグローバル・インテリジェンス」を開設し、取引先企業に無料で情報を配信している。ここでは各国のリスク情報を平日の毎日にわたってメールで配信しているほか、「国別リスクレーティング」「海外での滞在を安全に過ごすためのヒント集」などのコーナーをホームページ上に設けている。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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