NKSJひまわり生命が堅調な理由 特約で高齢社会に対応

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損保ジャパンと日本興亜損保を中核とする大手損保NKSJグループ。その系列生保であるNKSJひまわり生命保険の保有契約が、10月末に300万件台に到達した。「主力商品『健康のお守り』が好調なことに加え、解約失効率が下がってきていることが主因だ」と松﨑敏夫社長は分析する。

松﨑敏夫社長

 「健康のお守り」はがん治療に重点を置いた医療保険で、がんの外来治療(通院や往診)を特約で1年に120日を限度にカバーしている。入院から外来治療にシフトしつつある、最近のがん治療の変化を踏まえていることが評価され、松﨑社長自身も「業界で先鞭を付けた商品だ」と自負する。

加えて、粒子線治療など、医療費がかかる先進医療も特約でカバーしたことも人気を集め、契約件数の増加につながった。契約件数は「12年度内には100万件に到達する勢い」(松﨑社長)という。

11月19日に発表されたNKSJホールディングスの2012年9月中間連結決算でも、大黒柱の損害保険事業の業績が厳しい中で、ひまわり生命は気を吐く。同社の経常利益は44億円と黒字(前11年9月中間期は合併前の2社合算で同14億円の赤字)に転じた。

12月12日には、主力商品「一生のお守り」(無配当低解約返戻金型終身保険)で、「介護前払特約」と「年金移行特約」の2つの特約を発売する。これは、保険料払い込み終了後に終身保険の一部または全部を年金の支払いに切り替えたり、払い込み終了かつ被保険者の年齢が65歳以上で公的介護保険によって要介護4または5に認定された場合に、特約保険金を受け取れるというもの。「社会の実情に合った商品をいかに作るかに心を配っている」と松﨑社長は強調する。

(撮影:尾形 文繁)

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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