福岡の「水辺改革」始動、第1弾はここが面白い 地味な存在だった「水上公園」が一変!

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公園整備にとどまらず、水辺をもっと活用しようと、西鉄はSUP協会に接触。SUPとは、サーフボードのようなボードに立ちバドルで水を漕いで進む、近年にわかに注目の集まるスポーツ。西鉄の呼びかけに地元の会社が賛同し、公園付近でSUPができるようになった。

「SUPは水上散歩をしているような気分になれるし、水辺の風景がより魅力的になるはず。私が言いだしっぺなので責任を持ってやりたい」と、花村さんもSUPインストラクターの資格取得を目指して目下練習中だ。一方、このエリアで公園オープン翌日から人気飲食店が出店するイベントを開催したり、SUPの全国大会九州予選レース大会を開催したり。話題作りにも余念がない。

屋上に「LOVE」とあるのは…?

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建物のイメージは「世界へ漕ぎ出す、水上の船」

さらに、水上公園にはとっておきのスポットがある。船をイメージした屋根デッキの先端で、映画「タイタニック」で恋人同士が船首に立つ名シーンを再現する“タイタニックごっこ”ができる。公園見取り図のイラストをよく見ると、屋上部分の吹き出しには「LOVE」の文字が。密かに提案しているのだ。

トータルデザインを担当した福岡市在住の建築家・松岡恭子さんはこう語る。

“タイタニックごっこ”はこちらで

「デートの場所を作りました。恋人で夫婦で仲間で、大切な瞬間を共有したい、あの人を連れていきたいと思うような、日常とは少し違う空気が流れる場所を作ることで、まちを素敵にしたい」

福見さんも「ここに来たら恋が成就する気がするんですよ、ホントに」とほほえむ。

オープンから数日後、夕刻に水上公園を訪れた。そこには、公園や屋根デッキで思い思いに過ごす老若男女の姿が。しばらくするとオペラ歌曲を歌うグループが現れたり、芝生の上で見知らぬ人同士が語らったり。あたかも船に乗り合わせたような一体感や高揚感が、人びとを解放的な気分へと誘うのだろう。

早くも福岡の新しい顔、都心の憩いの場として、愛され始めた水上公園。今後は市民を巻き込んだプロジェクトも展開していく予定だ。ここからさらに、福岡の水辺が変わっていくだろう。

佐々木 恵美 フリーライター・エディター

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ささき えみ / Emi Sasaki

福岡市出身。九州大学教育学部を卒業後、ロンドン・東京・福岡にて、女性誌や新聞、Web、国連や行政機関の報告書などの制作に携わる。特にインタビューが好きで、著名人や経営者をはじめ、様々な人たちを取材。

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