ペット飲料、開栓後の細菌増殖にご用心 夏場の「常温」飲料ブームに潜む落とし穴
自販機や冷蔵ケースの冷たい飲み物の温度は平均5度。一方、常温の定義は、日本薬局方では20度プラスマイナス5度、JIS(日本工業規格)では20度プラスマイナス15度。アサヒ飲料の自販機は20度に設定している。
「自販機のメリットは、店頭販売と違い厳格な温度管理ができること。今後はスポーツジムの自販機には常温スポーツドリンクを置くなど、ロケーションに適した商品展開をしていければと考えています」(開発・自販機企画部・柴田篤さん)
人気の常温飲料だが、健康にはいいのか? 『「体を温める」と病気は必ず治る』の著書がある石原結實医師は言う。
「冷えの弊害として、夏バテ、下痢、生理痛などがあります。これらをやわらげるための理想の体温は36.5度ですが、日本人の体温はここ50年で約1度も下がっている。この状況を少しでも改善するのに、常温飲料が効果的なんです」
運動時は冷水がベター
ただし、運動時や熱中症、脱水症状のときは要注意と言うのは、横浜国立大学教育人間科学部の田中英登教授だ。
「すぐに水分補給して体温を下げる必要があるときは、常温の20度より冷やした5度のほうが腸での吸収率が良く効率的です。ただ、まずは水分量を確保することが大切なので、冷たいものが飲みにくいと思ったら無理する必要はありません」
日常生活では、ある程度温度の高い飲み物でも、汗をかくことで体温の上昇を抑えることが可能だという。
腸での吸収率が高いのは、水やスポーツドリンク。お茶も水と同じくらい吸収がよいが、利尿作用があることも忘れずに。
「1日に必要な水分量は1.5~2リットルと言われますが、もともと食事で1リットルとれ、基礎代謝で800ミリリットルの水分が体内でつくられます。あまり汗をかかないオフィスワーカーの場合、1日3食とって、午前と午後にそれぞれ500ミリリットルずつ水分補給すれば十分でしょう」(田中教授)
中身や量もさることながら、容器にも要注意だ。魔法びんのサーモスが13年に行った調査では、夏の水分補給は約6割がペットボトル・缶飲料からだった。国民生活センターの別の調査では、ペットボトルには口をつけて飲むと答えた人が7割を超えた。実はこのいったん栓を開けたペットボトル飲料が曲者だ。