ドル高円安は、まだ続く可能性も 市場動向を読む(為替)
円の実質実効レートが急速に円安方向に進んでいる。JPモルガンが算出する円の実質実効レートは、2月6日時点で1970年以来の平均値から19%も割安なレベルまで低下した。円の実質実効レートは、いわゆる『円キャリー・トレード』がピークに達した2007年6月に過去最低レベルまで低下しているが、現状の水準はその最低レベルまであと8%の水準まで迫っている。
円の実質実効レートは過去最低レベルにまで下落
しかし、2007年6月の米ドルの対円相場のピークは1ドル=124円である。現在はまだ1ドル=93円程度なのに、なぜ実質実効レートではそんなに円安が進んでいるのだろうか。
まず、『実質実効レート』とは何か、から簡単に説明したい。『実効レート』とは貿易加重平均レートとも呼ばれるが、簡単に言えばその通貨の全体的な強弱を示す指数である。円相場と言っても、米ドル/円、ユーロ/円、英ポンド/円、豪ドル/円等様々な通貨との為替レートがある。米ドル/円相場だけ見ていても円が強いのか、弱いのかは分からない。
そこで、対米ドル、対ユーロ、対英ポンド、対豪ドル等の円相場を総合的に見て、昨日に比べて円は全体的に上昇したのか、それとも下落したのかを示すように作成された指数が実効レートである。ちなみに、この計算を行う際、全ての通貨を同等に扱うのではなく、その国の貿易量に応じてウエイト付けをして計算を行なう。だから貿易加重平均レートとも呼ばれる。
次に、『実質』とは、物価の変動を調整しているという意味である。実効レートには『名目』と『実質』があるが、『名目実効レート』は物価の変動を調整していないということを意味している。為替相場は15~20年程度の長期で見ると、物価の変動率の差に沿って動く。『物価の上昇は通貨の下落』、『物価の下落は通貨の上昇』と同義であるから、物価の上昇率の低い方の通貨が、物価の上昇率の高い方の通貨に対して上昇する。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら