「スバル」はなぜ富士重工の名を捨てるのか 吉永社長が語る「目指すものの深さ」とは

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――前2015年度までは円安の追い風があった。今2016年度は一転して円高だ。環境規制への対応や自動運転分野など、先進技術への開発投資も膨らんでいる。富士重工業のような中規模メーカーには重い負担だ。

中規模の自動車メーカーが、すべての最先端技術を開発することは難しい。他社とアライアンスを組むことは必須だ。当社もプラグインハイブリッド車(PHV)をトヨタ自動車に教わっている。

ただ、中規模のメーカーでも、自分たちの足で立っていたいと思うのは当然のこと。生き残る道筋は、規模ではなく付加価値路線に舵を切ることだ。中規模メーカー各社が、ブランド路線という道を選んだとき、どれだけ違いが出せるかどうかは、目指すものの深さによる。

われわれの場合、飛行機メーカーという歴史に根ざしていることがひとつの特徴だ。安全であり、スポーティさや走る楽しさというのを、どこまで突き詰められるかで、スバルのブランド力は決まってくる。

スバルには「スバリスト」と呼ばれる熱狂的なファンがいる。一方で最近では、車が好きで技術のうんちくが言えるようなコアなファン以外にも客層が広がってきた。ファン層を広げても従来のコアなファンから魅力がなくなるようなことがないように、場合によっては見切る力も必要だ。

1000万台のメーカーになることはない

――前期の営業利益率は17.5%と世界の自動車メーカーの中でトップだった。ただ円高に振れる今期は、減益になる業績見通しを出している。

生産台数は国内71.5万台、一番大きな市場である米国では23.6万台だ(販売台数は国内14.5万台、北米63万台)。為替の影響が大きくなるのは当然といえる。「為替感応度が高いですね」という話になったとき、経営者は感応度を下げるために何か策を打たなければと思ってしまいがちだ。

もし影響を避けるため、世界各地に生産拠点を設けると、稼動を維持するために、200万台、300万台と規模拡大路線に踏み出すことになる。産業の黎明期ならともかく、成熟した自動車産業の中で、当社が100万台から1000万台企業に成長することはない。

富士重工業は1ドル=100円なら、業界平均よりも高い11%の営業利益率を確保できる。この利益率を維持していくために、メルセデス・ベンツやBMWのように、ブランドポジションを高めていく活動をしなければいけない。

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