熊本の球児招き、福島で「もう一つの甲子園」 王貞治さんも「被災地」の野球少年に熱い応援

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また、これまでは、企業を中心に協賛をしてもらって大会は運営されてきた。だが、「草の根的に、一般の方々にもっと応援してもらえるような大会にしたい」(佐野さん)との思いで、今年からはクラウドファンディングも開始した。

多くのボランティアに助けてもらっても、なんといっても12チームが参加する大きな大会だ。旅費や施設費なども含めれば、大会費用は約1000万円かかる。「被災地の野球少年たちにたくましく育って欲しい」という大会の趣旨に賛同してくれる人が少しでも増えてくれれば、有難い話だ。

熊本の子供たちに、福島や宮城の子供たちからパワーを

一方、場所が変われば、イベントの内容も変わる。これまではできるだけ多くの試合を行うのが目的だったが、2014年からは、引き続き親善試合を行って覇を競うものの、親交をより深めるために、2日目は各チームから代表者を選んでオールスター戦を行うことにした。子供たち同士の絆をもっと深めて欲しいとの考えからだ。

今年の福島でのオールスター戦の始球式には、第1回大会に被災地の福島・相双リトルシニアの一員として出場した子供たちも、たくましくなった高校生として、参加してくれる予定だ。

首都圏などのチームと被災地のチームの交流が深まり、絆甲子園は「学びの場」にも。今年招待する熊本のチームには、福島や宮城の子供たちのパワーをもらってほしい

また、被災地での開催ということもあり、やはり2014年からは2日目の朝はあえて試合を行わず、復興の現場をバスで回って見学する「学びの場」とした。東京や千葉から参加した子供たちは異口同音に「自分たちがいかに恵まれているか、わかった。もっと頑張らないといけない」と口にしているという。

「今年は3万人も収容できる福島県営あづま球場をお借りすることができたので、2日目のオールスター戦に向けた初日の前夜祭などは、ホームラン競争なども企画している。大人も子供も参加できるようにするので、みんなで楽しんでほしい」(佐野さん)。

「熊本の子供たちには、大震災を乗り越えようとしている福島や宮城の子供たちからパワーをもらい、少しでも元気になってもらえれば」。それが第6回目の絆甲子園を開催する、佐野さんの新たな願いだ。

福井 純 東洋経済 記者

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ふくい じゅん / Jun Fukui

「会社四季報オンライン」編集部長。『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報プロ500』『株式ウイークリー』『オール投資』編集長、「東洋経済オンライン」編集部長、証券部長を経て現職。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)、日本テクニカルアナリスト協会理事

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