化学はニッポンを見放した

主要メーカーが国内生産を次々と撤退、縮小

住友化学・千葉工場の全景

エチレンの内需は、年500万t前後。人口減や高齢化などで内需が縮小均衡を続ける中で、余剰分は輸出に回して賄ってきた。その拠り所が世界を牽引する中国の経済成長だったが、欧州債務危機を発端にそれも崩れた。

深刻なのは景気要因だけではなく、弱点があぶり出されたことにある。近年、天然ガスを由来とする安価なエチレンに強みを持つ中東や、最大の需要地である中国で、年100万トン級の大型エチレンプラントの新・増設が相次いだ。

原油から取り出すナフサ(粗製ガソリン)を原料にする日本の石化産業と比べ、中東とのコスト差は20~30倍ともいわれる。不利な展開の中で、日本の石化製品は中国をはじめとする輸出先のアジアからはじき出されるとともに、中東や中国の安価な輸入品が日本に流入してくる事態となった。

シェールガス革命も日本に襲いかかる

加えて、米国で頁岩(けつがん)から取り出す天然ガスである「シェールガス」の開発が進み、これを原料にした大型のエチレンプラントが16~17年に相次いで始動する見込みとなっている。その規模は日本勢の計760万㌧程度に匹敵するとされる。競争力の低い日本が、中東・中国と米国から「挟み撃ち」にされる構造問題に対応するために、住友化学は小規模で競争力の低い千葉工場のプラントを停止せざるを得ないという判断に至った。

住友化学が活路を求めるのは海外だ。すでにシンガポールとサウジアラビアに大型の石化プラントを設けている。特に汎用的な製品はコスト競争力が高く、アジアなどの需要地に近い海外での展開にシフトする格好となる。

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