「い・ろ・は・す」を20億本売った”女マネ” 新世代リーダー 小林 麻美 日本コカ・コーラ マネジャー
徹底したときに最大の効果が生まれる
そこから、パッケージデザイン作りに入る。ラベルのサイズは他の製品より面積が小さい。「開発する側としては、大きなラベルに、たくさんの情報を載せたくなってしまいます。しかし、エコを表現するブランドとして、何がふさわしいかを考えました」。消費する資源は少なく、飲み終わった後にリサイクルしやすいよう、はがしやすいラベルを心がけた。
フタやラベルのイラストなど、メインカラーは緑色に決定。自動販売機や売り場で緑は、緑茶のイメージが強く、ミネラル・ウォーターといえば青系。消費者に間違えられかねないという懸念の声もあった。青系のボトルも候補に残った。しかし、最終的に決定したのは、やはりエコをイメージできる緑だった。
宣伝も、他とは違う打ち出し方を追求した。テレビCMの音楽にはサンボマスターを、タレントは阿部寛に決定した。若い女性タレントによる、癒し系のCMが多い中、ロックな世界観で動的なイメージを表現した。
新しい挑戦ばかりのブランド作り。「他のブランドと似たようなやり方をしても、従来のものと同じ評価しか得られません。徹底した選択をすれば、最大の効果が得られると確信していました」
3年でなんと累計20億本!味つきウォーターで再びヒット
09年5月、ついに販売開始。小林さんたちの不安をよそに、「い・ろ・は・す」は、発売直後から、すさまじい売れ行きを記録した。販売後100日であっというまに1億本を突破。いまや、1年で3億本を販売する巨大ブランドに成長した。
しかし、「い・ろ・は・す」の成功物語は、それだけでは終わらなかった。次に繰り出したのは、植物由来の素材を使用した「プラントボトル」の採用だ。石油由来の原料を減らすことで、一層のエコを提案することができる。
さらに、10年7月からは、「い・ろ・は・す みかん」を発売。「ミネラル・ウォーターを普段飲まない人に、おいしさを知ってもらいたい」温州みかんのエキスを添加して、透明ながらもみかんの濃い味を感じられる。「い・ろ・は・す みかん」に加え、りんごなども投入、シリーズの累計販売数は20億本を突破。フレーバーウォーター市場も3.5倍に広がった。
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