隠岐「島宿」が"大入り民宿"に大化けした理由 後継者を育てなければ宿は消え地域衰退へ…

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筆者なりに解釈すれば、一番の違いは「料理」だ。「民宿」は(たとえ旅館を名乗っていても)経営者自らが包丁を握る。一方、「旅館」は民宿と同じ家族経営主体だが、従業員を雇って専門の調理師が料理を担当する。これにより、料理の内容やコスト構造、料金も変わってくる。

さらに、経営者が包丁を握り、自ら料理を作る宿が個室客室で営業した場合、民宿でありながら旅館の形態を持つことになる。この転換ケースが徐々に増えてきているので、名称を含め区分がややこしくなってきているのが現状だ。

だが、考えてみてほしい。民宿の料理といえば地域の家庭の味を伝承する郷土料理。それも経営者が自ら包丁を握るので人件費が余計にかからず、コストパフォーマンスもよい。さらに、ハード面でプライバシーが守られて安心だとすれば、そんな宿が日本人にも、訪日外国人にも、今一番求められているのではないだろうか。

「民宿」が脚光を浴びることが少ないとすれば、その定義の曖昧さのためだろう。一方、若い人たちが経営し、外国人の利用も多いゲストハウスは「簡易宿所」に属するが、イメージはよい。

あと20年で「旅館」業は消える!?

厚生労働省の調査から、旅館業法上の「ホテル」(洋室主体)、「簡易宿所」(相部屋形態)、「旅館」(和室主体・個室形態)の種別ごとの軒数を見てみると、都市部中心の「ホテル」業や、ゲストハウスが含まれる「簡易宿所」業は増加している。

 

その一方で、多くの民宿を含む「旅館」業は減少の一途をたどっている。平成14(2002)年度に6万軒あった「旅館」業は、平成24(2012)年度には4万軒と、10年間で3分の1(約2万軒)が消えた。10年で2万軒が消滅するとなると、計算上、あと20年で「旅館」業はこの世から消えることになる。せっかく相部屋から個室主体に改装した「民宿」もなくなってしまうのだろうか。 

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