フェラーリの限定車が発表前に完売した理由 「ラ・フェラーリ」のオープンを買うのは誰だ
フェラーリは希少性を重視するブランドのため、販売数量を大きく拡大できない。とすれば商品単価を持ち上げるのがひとつの戦略だ。ところが、近年、希少性を狙ってスペチアーレ(約500台)とワンオフ(1台)の間の生産台数を設定したライバル達が続々登場してきた。
たとえば年間生産数量3000台規模で、ほぼフェラーリと同等の価格帯の一般モデルを持つランボルギーニは、創業者フェルッチオ・ランボルギーニ生誕100周年を記念して開発された「ランボルギーニ・チェンテナリオ」をジュネーブ・モーターショーで発表した。
クーペ、ロードスター共に20台限定生産で、すでに全40台が売約済とアピールされている。さらに名車ミウラ50周年を記念し50台限定生産のリミテッドエディション「アヴェンタドール・ミウラ・オマージュ」も発表とともにほぼ完売とうたわれている。
経済力を持っているだけではだめ
これらの限定車を手に入れるには単に経済力を持っているだけではだめだ。メーカーから「忠誠心を持った顧客」と認めてもらっていなければ、この数十台の発注リストに載らないことはいうまでもない。
このような10~100台規模というフェラーリ・スペチアーレよりも1ランクボリュームの少ない生産数量をアピールする限定生産モデルが、ライバルメーカーから続々リリースされている。イタリアの手作りメーカーである「パガーニ」など全モデルが1億円を超えるプライスタグを付け、年間60台以上は作らないという戦略を採っている彼らもこのカテゴリに入るだろう。
先日、筆者がフェラーリ本社を取材した時にも、彼らはこのカテゴリへ大きな期待を掛けていることを大いに語ってくれた。今まで発表してきた「北米限定10台」といった特別モデルや、今回のラ・フェラーリのオープンモデルといった極少量生産の限定モデルを“フュー・オフ”(一台だけのOne offに対するFew off)称する「4番目」のカテゴリととらえているのだ。
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