フェラーリの限定車が発表前に完売した理由 「ラ・フェラーリ」のオープンを買うのは誰だ

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このラ・フェラーリのオープンを購入した顧客は上得意客ばかりだろうし、ベースとなったラ・フェラーリのクーペモデルを所有する超富裕層オーナーも少なからずいると考えられる。一般人からすれば、なぜ基本的なメカニズムやスタイルが同じで、単に屋根のないモデルを買い足すために2億円近くもの大金を支払うのかは理解しがたい。

フェラーリブランドに対する忠誠心

しかし、これこそがフェラーリブランドに対する忠誠心なのだ。この限定モデルを購入できるということでフェラーリから重要顧客として扱われていることを誇示できるし、何より、次期モデルも優先的に案内される。

それにしても、フェラーリが特殊な少量生産のうえ、すでに完売御礼となっているラ・フェラーリのオープンモデルをわざわざモーターショーに出展するなど、存在を広くアピールして、高いコストを費す理由はどこにあるのか。

ひとつの答えは絶妙なブランド戦略にある。写真を見せただけで特別仕様車を買ってくれた優良顧客の「忠誠心」に敬意を払い、それほど忠実な顧客が世界中に存在するということをアピールし、フェラーリというブランドの価値をさらに高める狙いだ。

それだけではない。2月7日配信の『フェラーリの「独立」は何を意味しているのか』でも解説したように、フェラーリはフィアット・クライスラー・オートモビルズ(FCA)からの分離・独立を完了した。

10%の株式上場を目的として昨年10月にニューヨーク証券取引所(NYSE)へ、同12月にはミラノ証券取引所へも上場。FCAは残る10%をフェラーリ家に、80%をフィアットグループの株主へ割り当てた。1969年にフィアットの傘下に入って約47年。フェラーリは再び独立企業となった。上場したフェラーリは、企業価値をより高めるために、将来へ向けた戦略と売り上げの成長基調を市場へアピールしなければいけない。

イギリス人オーナーが発注した「458MM スペチアーレ」

現在のフェラーリは一般モデルを2500万~4000万円台の価格帯で年間7000台ほど生産するとともに、「スペチアーレ」という500台前後の限定モデルを数年おきに発表。さらに「ワンオフモデル」という顧客の注文に応じて作られる世界に一台だけのオーダーメイドモデルを含めた3つのカテゴリを持っている。この5月に発表されたイギリス人オーナーが発注した「458MM スペチアーレ」はベースこそ458スペチアーレだが、新たにデザインされたボディ形状が採用され、車両価格は5億円以上だろうとも目されている。

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