東横線“延伸”に横浜老舗ホテルが手ぐすね 「ナポリタン発祥の地」もウリに

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今期は、抑制した人件費を復元させるため、逆に販売管理費が増加する。上期は微減収の見通し。前期に好調だった婚礼など宴会売り上げの一服を見込んでいることが主因だ。

ただ、この予算を策定した時期が衆議院選挙より前だったため、株価上昇による資産効果も手伝ってか足元の収益動向は堅調で、減益幅は会社見通しより小さくなる可能性が高くなってきた。横浜周辺の宿泊単価に底打ち感があることから、旅行代理店やインターネット予約業者へ販売する客室の価格を戦略的に上げている。稼働率が多少下がっても、採算改善効果のほうが大きいとの読みだ。

前期末までに短期借入金4億円を完済した。今後も設備改修など必要に応じて借り入れの可能性を否定しないが、今期の設備投資は津波対策の防潮板などで大きな金額にはならず、バランスシートは当面は無借金で経営できる見通しだ。

5路線直結でイベント充実、ナポリタン発祥もアピール

副都心線が直結するのに合わせて、ニューグランド近隣の商業施設で春からゴールデンウイークにかけ、豪華賞品イベントなどを開催。認知度の向上と集客の増加を図る。かつて、JR根岸線の石川町駅から徒歩で15分弱かかったが、みなとみらい線の開通で同線元町・中華街駅出口から1分となり、レストランの売り上げが2割増えたという。そこまでの効果はないにしても、遠方からの誘客に力を入れる。

近年のナポリタンスパゲティの静かなブームも追い風だ。日本のナポリタン発祥には諸説あるが、ニューグランドはその有力な候補となっているからだ。ケチャップを使わず、生トマトから調理するオリジナルの味がメディアでも取り上げられる機会が増えており、集客への波及に期待している。

山川 清弘 「会社四季報オンライン」編集部 編集委員

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やまかわ・きよひろ / Kiyohiro Yamakawa

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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