金正恩は「あの会社」のスマホユーザーだった 北朝鮮の一般人はバカ高いガラケー、でも…

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北朝鮮では2008年から、逓信省とエジプトのオラスコム社との合弁で設立された「高麗リンク」という会社が、移動通信サービスの提供を開始。中国から輸入された端末に「平壌」「柳京」(平壌は柳が多いことで有名で、別名「柳の都」と呼ばれるため)というブランドで販売されている。

平壌で使用されている携帯。ハングルでの文字メールも可能だ

オラスコムによれば、「2012年秋には150万人が利用しており、12年内には170万人となりそうだ」と発表したことがある。また、平壌市内に住む20~50歳代の住民の6割が携帯電話を利用し、一部ではアイフォーンやノキア製のスマホを利用しているという話もあるほどだ。

スマホ端末の価格は5万~6万円

中央日報によると、北朝鮮でつかわれるスマホの場合、価格は北朝鮮ウォンで約480万ウォンで、闇レートでは約600米ドル(約5万4000円)で購入しているという。北朝鮮住民の平均月給は3000ウォンで、公式レートでは1ドル140ウォン、闇レートだと1ドル8000ウォンで取引されており、いずれにしても携帯電話を持つには多額の費用がかかるようだ。

高麗リンクが販売する普通の携帯電話は250~300米ドルで販売されている。中国に住む北朝鮮ビジネスに手掛ける関係者の話では、「携帯電話の利用には、ひと月200分の無料通話料金が含まれているが、それでも足りず10ドル程度のプリペイドカードを買って通話する人が大半。そのため、維持費を捻出するのに汲々としている」と言う。

また、平壌や中国との国境地帯の住民では携帯電話が普及しているが、それ以外の地域ではまだ利用者がおらず、携帯電話がどんなものであるかわからない住民もまだ多いようだ。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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