毒舌ジョンソン氏に英外交トップは務まるか 人種差別的な物言いなど問題発言を連発

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ジョンソン氏は、保守党が下野している時期に、不倫に関する虚偽の発言を理由に党の政策チームから外されるなどスキャンダルを重ねてきたが、機転と奇抜なスタイルで人を魅了する力を武器に切り抜けてきた。

こうした不倫スキャンダルなどもあって、ジョンソン氏は大衆タブロイド紙から「Bonking Boris(ゴシップ王ボリス)」という異名を取っている。ところが、他の政治家なら失脚しかねないところ、ジョンソン氏はますます人気を高め、ふだんなら革新系が強いロンドン市長選で、2008年・2012年と連続勝利を収めるに至る。

英国のEU残留に向けて運動していたキャメロン首相に逆らって「ブレグジット(英国のEU離脱)」推進の先頭に立つというジョンソン氏の決断は、一般には、国民投票で離脱派が勝利を収めた場合にキャメロン氏に代わって首相の座を狙おうという思い切ったギャンブルであると思われていた。

野心は一転して窮地に

離脱派勝利が実現した後、ジョンソン氏は保守党党首・首相の最有力候補と見られていたが、勝利に酔う暇もなく、彼の野心は一転して窮地に追い込まれる。盟友であったマイケル・ゴーブ氏が突然ジョンソン氏を見捨て、自ら党首選に立候補することを発表したのだ。

「ボリスでは、今後の任務に向けてリーダーシップを発揮することもチームを構築することもできない」という捨てぜりふを残したゴーブ氏の裏切りによって、首相官邸をめざすジョンソン氏の進軍は、出発さえしないうちに足止めを食らってしまった。

ジョンソン氏にとって展望は暗かった。英国をEU離脱に踏み切らせるうえで大きな役割を果たしたのに、実際に離脱プロセスのかじを取るという困難な任務から逃げたとして、広く嘲笑を浴びていたからだ。ソーシャルメディアでは、「審判の時至る、奴は逃げ出す」というジョークが広まった。

外相への任命は予想外だった。メイ新首相は前職の内務相時代、イングランドにおける高圧放水車の使用を認めず、ドイツから中古の高圧放水銃3基を購入していた当時のロンドン市長だったジョンソン氏に恥をかかせた。

6月30日の党首選への出馬表明のなかでも、メイ氏は欧州各国首脳と渡り合った経験をひけらかしてジョンソン氏を揶揄(やゆ)した。「前回彼がドイツ人と交渉したときは、新品同様の高圧放水銃を3基もらって帰ってきた」と笑いものにしたのである。

もっとも、メイ新首相は新設されるEU離脱担当相としてデービッド・デービス議員を任命しているため、EU離脱の条件をめぐる突っ込んだ交渉におけるジョンソン氏の役割は限定的なものになる可能性が高い。

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