ここでふと、上2つの言葉によく似たフレーズがあったことをふと思い出す。
「日本を、取り戻す」(自民党総裁 安倍晋三)
安倍さんは滑舌が悪いので、つい「日本をトリモロス!」と聞こえてしまうのだが、この言葉の効果たるや絶大で、自民党は2012年末の衆院選を大差で勝利して政権に復帰したのであった。その後も安倍首相は、2013年参院選、2014年衆院選、そして今回の2016年参院選と破竹の「国政選挙4連勝」を達成している。しかも選挙のたびに、「あの暗黒の時代に戻っていいのか!」という脅しがついてくる。
「若者は自民党」だったが、次の解散は難しくなった?
思うに日本政治が安定しているのは、「日本を取り戻す」ことに既に成功しているから――ではなくて、単に民主党政権時代の不甲斐なさが有権者の骨身に沁みているからであろう。あれからもう3年半も過ぎたし、名前も民進党に変わっているのだけれども。
ただし今回の選挙結果を振り返ってみると、自民党は勝ったとはいえ多くの選挙区で競り負けている。1人区では21勝11敗であり、野党協力が一定の効果を挙げた様子が窺える。逆に野党協力が出来ない複数区では、東京都と福岡県以外の11道府県で自民党候補がトップ当選を果たしている。
また比例区では2011万票を獲得しているが、自民党が比例で2000万票を超えるのは、2005年の「小泉郵政解散」以来となる。ひとつには「18歳選挙権」が追い風になっていて、噂通り「若者は自民党」なのであろう。
しかしこの選挙結果を前提に、次の衆院選挙を考えてみるとどうなるか。小選挙区は1人区と同じことなので、野党協力は参院選以上に効果を挙げる公算が高い。そして民主党政権時代の記憶が遠くなるにつれて、野党への抵抗感も薄れていく。事実、今回の比例区で民進党は1175万票を得て、久々に1000万票を上回っている。安倍首相にとって、次の解散のタイミングは難しくなったのではないだろうか。
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