シェールガス革命で世界は激変する(下) アメリカや日本は復活、世界はデフレに

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周知のように、冷戦崩壊後、経済的に貧窮していたロシア経済を救ったのは石油や天然ガスなどの資源である。一般に、原油価格が1バレル80ドルを割り込むと、ロシア経済は苦しくなると言われている。

ロシアは国内産業が未成熟なため、多くの製品を海外から輸入する必要がある。意外に知られていないが、ロシアの最大の弱点は農業である。ロシアは多くの農産物を海外からの輸入に頼っているが、資源が高値で売れないと、外貨を稼ぐことができなくなってしまうのである。

 そこで、ロシアのプーチン大統領は、天然ガスをはじめとする資源をアジアに売り込もうと、日本にも積極的にアプローチしてきている。北方領土問題でのやや軟化姿勢はその苦悩の表れなのである。

 同じように、経済的に厳しい状況に追い込まれるのが中東の産油国である。1973年に石油危機が生じて以降、中東は現在まで40年もの間、大きな政治力を発揮してきた。それはひとえに石油の賜物と言ってよい。しかしながら、今後は中東の産油国に頭を下げなくとも、エネルギーが手に入るようになる。今後、石油は単なるエネルギー商品の一つにすぎなくなるのだ。

中東諸国の凋落に合わせて苦境に陥ることが予想されるのは、英国ロンドンのシティである。これまで中東のオイルマネーを一手に集めてきたシティは、中東の地位低下と一蓮托生ということになる。シェールガス革命後、欧州の中心は、金融においても実体経済においても、急速にドイツへと移ることになるだろう。

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