中国人の「爆買い」が急速に縮んでいる理由 訪日客の目的は「買い物から体験へ」

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その最も効果的な方法は「SNSによる感動の拡散」だと私は考えます。 

「SNSによる感動の拡散」が訪日中国人を増やすカギ

中国では、スマホは情報を収集するだけでなく、むしろ情報発信でよく使っています。彼らは、自分の経験したことを「自慢したい」「多くの人に知ってもらいたい」という欲求が強い。だから1秒でも早く、一つでも多くSNSにアップしようとします。そして中国人は、マスコミからの情報よりもSNSの口コミに対して非常に興味を持ち、有名なブロガーや自分の友人や親類からの情報に高い信頼を置いています。

中国人観光客がSNSで発信する動機の大きな一つとして「感動」があります。旅に出ると、多くの人が「まだ見たことのないものを"見てみたい"」「食べたことのないものを"食べたい"」「したことのないことを"経験したい"」と考えます。

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人には好奇心があり、見たことのないものや、これまで経験したことがない、未知(あるいは未体験)のモノやコトに強く惹かれるのです。これは日本人も中国人も共通です。したがって、自分たちが扱う商品や飲食、サービスの提供に関して、訪日中国人旅行者がこれまで体験したことのない「初体験」となるように紹介することが必須です。

こうしたことを考えると、私たちが中国人観光客に向けてするべきことが見えてきます。すなわち、中国人に対して単に料理の写真の出ているメニューを見せたり、料理名を翻訳したりするだけではなく、自分たちの商品や提供するメニューのどこが旅行者にとって「初体験」となるかをしっかり考えて、アピールし、伝えることが重要なのです。

日本人は商品やサービスの価値を日本人に伝えることには長けています。しかし、中国人観光客に伝えることに慣れていないと感じます。それは今までは仕方のないことでした。 中国人旅行者が急激に増えたのはここ数年だからです。しかし、今後はそういうわけにもいきません。質の高い商品やサービスの良さをできるだけ中国人の価値に合わせて伝えることが必要なのです。

近江商人の心得として有名な「三方よしの精神」をご存じでしょうか。「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の3つの「よし」があって初めて「いい商売」といえる。この精神を取り戻さなければなりません。相手が何を考え、何を求め、何に感動するのか。その答えはいくらでもあります。国家レベルで本質的なインバウンド戦略を講じることが急務といえます。

坂口 岳洋 外国人旅行者誘致促進地域創生機構 理事長

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さかぐち たけひろ / Takehiro Sakaguchi

一般社団法人外国人旅行者誘致促進地域創生機構 理事長
1996年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修了、JAFCO(旧日本合同ファイナンス)入社。その後、ラティス・テクノロジー経営顧問、イノベーション・エンジンのベンチャーパートナー、筑波大学先端学際領域研究センター客員研究員など歴任。2009年衆議院議員総選挙に出馬し、衆議院議員当選。2015年から現職。国内外の人的ネットワークを生かしたインバウンドの推進と地域創生に携わる。

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