パナソニック、「脱家電メーカー」への決意 津賀社長が語る、目指すべき姿

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「パナソニックの強みは家電事業にあった。その技術をうまくB2Bに生かせばいい。たとえばオートモーティブ(車載関連)事業と白モノ家電は一見、まったく関係ないように見える。しかし、車載用エアコンはどの部品メーカーでも作れるわけではない。パナソニックが強みを持つ領域は広く、ユニークだ」

「B2Bでフォーカスを合わせている事業の一つが自動車関連。今、われわれがカーメーカーそのものになる気はない。将来なるかもしれないが。ティア1、ティア2という部品事業をやっており、長年培ってきたお客様との信頼関係があるので、安心して投資できる。同じく航空機産業も大きな成長が見込める」

基調講演では、米GMとの共同開発に合意したと発表。隠れた稼ぎ頭である航空機関連事業も紹介した。現在でもGMやトヨタ自動車、日産自動車をはじめとする多くの自動車メーカー、航空会社275社への納入実績がある。

テレビ復活のカギは

テレビ事業から撤退するわけではない。CESでは「4K有機ELテレビ」の試作機を展示するなど、テレビにおける最先端の戦いを継続する意思も示した。では、テレビ事業をどう立て直すのか。

「(黒字化に向けた)決め打ちの施策が、今見えているわけではない。ただ、いちばん大きな収益改善の可能性は、『サービス』だと思っている。

米国では昔からサービスの価値が高かった。テレビというハードウエアは安く買うが、(ケーブルテレビなど)サービスであるコンテンツにはカネを払う。日本はまったく逆だ。ハードウエアにカネをかけ、サービスは無料放送だ。

では、世の中はどっちに行くか。大きな流れで見れば、間違いなくサービス重視だ」

テレビ事業におけるサービス戦略の柱として打ち出したのは「クラウド」。クラウド専門の研究開発部門を立ち上げ、IBMとの共同研究もスタートさせた。テレビをネットワークでつなぐだけではなく、視聴者の興味や関心を予測し、潜在ニーズに応えるコンテンツの提供を目指すという。

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