イオンは「ダイエー碑文谷店」をどう変えるか 「二子玉川に流れた客を取り返す」と宣言

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2014年4月の消費増税後、イオンではGMSの業績が低迷。トップバリュなどで低価格化を推進してきたが、「増税後の価格政策はミスだった」(岡崎社長)として、トップバリュの大幅改廃を実施。価値訴求を強めていた。だが、客単価は上がったものの、客数の減少傾向が続いており、今回再び低価格路線に原点回帰することを示唆した格好だ。

イオンは、こうした商品と店舗を軸にしたGMS改革について、2年前頃から取り組んでいる。新規投資を抑える一方、既存店の大型改装に軸足を置き、専門店化を進めた新業態の「イオンスタイルストア」への転換を加速。本部主導の画一的な売り場から地域カンパニーへと、権限委譲を進めてきたのが特徴だ。

決算説明をするイオンリテールの岡崎社長。「価格訴求にウエートを置く」とも発言した(記者撮影)

その結果、一定の効果も出ているという。岡崎社長は「各カンパニーの特徴が出て、商品が変わってきた。特に農産品の取引は各カンパニーでできるようになり、(消費者の)近くで品物がそろうため、鮮度の高い生鮮品がそろえられている。衣料も、2015年の今ごろから数量や地域に必要なものを各カンパニーでそろえることができ、売価変更率の削減などに効果が出ている」と強調する。

だが、肝心の売上高は、厳しいまま。仕入れ改革で粗利率は改善傾向にあるものの、3~5月のイオンリテールの既存店売上高は、前期比1.7%減とマイナス。衣料、食品、住居余暇のすべてのカテゴリーが、いまだ水面下だ。前2016年2月期下半期に改装した16店舗の売上高を比べると、改装前の1.1%減に対して改装後は0.2%増と、改装効果があったことをイオンは説明している。が、数字を見る限り、効果は限定的だ。

実際に岡崎社長は「ほんの2~3%の改善を計画した投資ではなく、成果は満足していない」と指摘する。既存店の改装は2015年2月期から累計約90店に上るが、顧客の支持は得られているとして、今後も順次改装していく方針に変わりはないという。

 

碑文谷は最新のユーカリが丘店よりレベル高い

改装という点で今後目玉となるのが、冒頭に記した旧ダイエー碑文谷店。現在改装中で、今年12月中旬に「イオンスタイル」として、再オープンする予定だ。

岡崎社長は「碑文谷のお客さんは(東京急行電鉄系の複合施設「ライズ」などのある)二子玉川(世田谷区)に流れていた。お客さんも、そこまで行かなくていいようにしてほしい、という要望がある。新店は二子玉川の上を狙う。最新のイオンスタイルである、ユーカリが丘(千葉県佐倉市)の上のレベルにしていく。ぜひご期待ください」と、笑顔を見せる。

イオンのGMS改革はいつ成果を見せるのか。残された時間は多くない。
 

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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