極論すると今は「革命前夜」なのかもしれない 非エリート階層が英国EU離脱で気づいたこと
しかしそうは言っても、短期的には不確実性は高まりそうだ。まず、誰が次の英国の首相になるかわからない。また、どのようなプロセスを経て離脱するのか、また英国と欧州が将来どのような関係となるのか、わからないことだらけである。このことから、英国への投資が一時的に中断したりする可能性が高く、その結果英国経済はスローダウンする可能性が高い。英中銀は8月にも金融緩和に踏み込むと見られている。
英国は現在、経常赤字がGDP比約7%と巨額である。それをこれまで埋め合わせてきたのは、海外からの資金フローだが、それが一時的にせよ止まることになるので、英ポンドは(すでにかなり下落したが)今後、一層下落することになる。
だが英ポンドの下落については、英当局は歓迎だろう。通貨下落の景気刺激効果は劇的だ。アベノミクスの例を見るまでもない。デフレが大問題であるこの時代、通貨安を嫌がる政府はどこにもない。2008年のリーマン・ショックからいち早く英国が立ち直ったのは、ポンドという独自通貨を維持してきたからだ。ユーロ圏の国は、通貨安の恩恵が無いため、いったん経済が落ち込むと、回復させるのが非常に難しくなっている。
日本の金融政策は極限まで来た
BREXITから1週間以上が経過し、世界の株価はほとんどの国で急回復した。その一方、世界各国の長期金利は低下したままだ。これは、BREXITに伴う不確実性の高まりを示すことのみならず、FRB(米連邦準備制度理事会)が金融引き締め路線を実質的に放棄したと見られていることが大きいのであろう。
その意味では、7月8日(金)発表の米雇用統計は重要である。多少良い数字が出ても、すぐに金融引き締め路線に戻るわけではないが、金融引き締めなしの方向にマーケットが傾いているので、少しでも良い数字が出ると、市場の反応は極端に振れる可能性はある。ただその場合でも、反応は一時的だろう。
また、まだ先の話だが、7月29日(金)の日銀政策決定会合で何らかの金融緩和策が取られるものと多くの市場関係者は見ている。CPI(消費者物価指数)が5月で3カ月連続のマイナスになっており、人々のインフレ期待は落ち込んでしまっている。
だが、だからと言って金融緩和に賛成かといえば、筆者は反対である。日本の金融政策は既に極限まで来た。政策を変更しても、人々のインフレ期待は変わらない。やっても無駄なことは、しない方が良いのではないか。恐らく、金融緩和をしたとしても、期待でマーケットは上昇するかもしれないが、結果を見てそれ以上に落ちる。1月のマイナス金利導入時と同じようになるだろう。
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