大型経済対策は本当に必要だったのか 総額13.1兆円の緊急経済対策に潜む問題点
11年度は東日本からの復興を主な目的として4度にわたって補正予算が編成され、計15.1兆円(一般会計の歳出総額)が積み増されたが、そのうちの約3分の2にあたる10.0兆円が未執行となった。
未執行額のうち7.1兆円は翌年度に繰越されたが、3兆円は不用額となり結局執行されずに終わった。特に、公共事業関係費については被災地における人手不足や復興計画策定の遅れなどもあって、補正額(2.9兆円)を上回る未執行額(3.7兆円)が発生した。
たとえ補正予算を消化しきれたとしても、その分当初予算の執行が滞り、12年度予算全体で見れば未使用額が大幅に増加する可能性もあるだろう。今年度は昨年度からの繰越額が非常に大きく、このことも予算の使い残しを生みやすい要因のひとつと考えられる。なによりも、年度末に予算を無理やり使いきるようなことをすれば、無駄な支出が膨らむことは避けられない。
一定の条件を満たせば今年度に執行できなかった分は来年度に繰り越すことが可能だが、執行額を大きく上回る予算を毎年のように組むことは極めて非効率である。
人口動態から考えれば投資率の低下は必然
今回の対策が旧来型の公共事業を中心としたものとなっていることに対する批判も多い。ただ、経済対策には即効性が求められるという視点に立てば、この批判は必ずしも的を射ていない。問題は公共事業の中身だ。
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