大型経済対策は本当に必要だったのか 総額13.1兆円の緊急経済対策に潜む問題点

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高齢化がさらに進展していく中では、公共投資全体は今後も抑制的なものとならざるをえない。新規投資を有用性の高いものに絞り込むことは言うまでもなく、維持補修・更新を行う社会インフラも選別することが必要となってくるだろう。

維持補修・更新投資にも中長期ビジョンが必要

今回の経済対策では老朽化した社会インフラの整備に重点を置いており、この点では評価ができる。しかし、これを補正予算で行うということについては疑問がある。短期間でまとめなければならない補正予算では、事業の選択が場当たり的なものとなりやすい。

かつての公共事業計画は基本的に新しい道路や橋などを作ることだけを考えていればよかったが、今や維持補修・更新投資も中長期的なビジョンに基づいて行うべきである。これは、補正予算ではなく本予算で腰をすえて取り組むべき課題ではないか。

最後に、今回に限った話ではないが、経済対策が決定すると経済効果の大きさに注目が集まり、そもそも経済対策が必要だったのかということに目が向けられることは少ない。今回は衆議院選挙大勝の勢いで経済対策を決めてしまった感もあるが、本来は経済対策実施の是非から十分に議論することが重要と思われる。

斎藤 太郎 ニッセイ基礎研究所 経済調査部長

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さいとう たろう / Taro Saito

1992年京都大学教育学部卒、日本生命保険相互会社入社、96年からニッセイ基礎研究所、2019年より現職、専門は日本経済予測。日本経済研究センターが実施している「ESPフォーキャスト調査」では2020年を含め過去8回、予測的中率の高い優秀フォーキャスターに選ばれている。また、特に労働市場の分析には力を入れており、定評がある。

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