孫社長の後継者「アローラ電撃退任」を追う 匿名投資家による疑惑の指摘は主に7項目
書簡が指摘した主な疑惑は以下のとおりだ。
1 シルバーレイク・パートナーズというハイテク銘柄に特化した投資ファンドのシニア・アドバイザーをニケシュ氏が兼任していることは、ソフトバンクに対して利益相反に当たる。
2 2015年1月に、アリババのインサイダー情報を得て、シルバーレイクが保有アリババ株の45%を売却していたのはインサイダー取引に当たる。
3 ドラマフィーバー(動画配信)やインドのハウジングドットコム(不動産サイト)への投資は成果が出ていないが、ニケシュ氏が事前調査を怠ったのではないか。
4 インドのEC大手スナップディールに二度の出資をしているが、2回目は資金需要がないとスナップディールのCEOが明言しているのにも関わらず強行した。
5 インド企業への投資で助言していたアロック・サマ氏に、半年間で600万ドルの報酬をニケシュ氏は払っているが、払いすぎでないか。
6 実績のないニケシュ氏に2014年度に165億円もの報酬を支払ったのは、ソフトバンク株主に説明がつかない。
7 高額報酬が明るみになると、ニケシュ氏は600億円のソフトバンク株を購入すると公表したが、ニケシュ氏に自腹で買うだけの資金力はなかった。ソフトバンクが債務保証をし、融資でニケシュ氏は購入したに違いないが、その点についてのソフトバンクの情報開示は十分でない。
孫社長は質問を無視
調査委員会は6月20日に「評価に値しないものだった」と結論のみを発表。どんな調査が行われたかなどの具体的内容は明らかにしていない。ニケシュ氏の退任発表はこの翌日だった。会社側は「退任と調査は関係ない」としている。
退任発表の当夜、ニケシュ氏はSNS「ツイッター」へ大量に投稿。この夜は3時間で117件も書き込んだ。その中で「マサとは今でも互いに愛し合っている」と仲のよさを強調していた。
翌日の株主総会で「調査結果を公表すべきではないか」と株主に問われた孫社長はこの質問に答えず、無視した。また、株主に聞かれていないにもかかわらず、高額報酬への批判に対して先手を打つ形で「グーグルにいたら同じくらいもらっていた。ストックオプション分を支払ったのだ」と必死に弁明していた。
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