賃金を上げるには成長戦略が必要 米国のインフレ率2%の理由は生活コスト上昇

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02年1月時点のCPIを100とすると、昨年11月の自動車は、アメリカ98.7、日本98.4だった。テレビは05年1月時点を100とすると、昨年11月はアメリカ17.7、日本11.8だった。パソコンもそうだが、グローバルに価格競争が激しい品目は、「インフレの国」アメリカであっても価格は上昇していない。

一方、生活コストに直結する品目はアメリカでは日本と異なって随分と上がっている。2002年1月を100とすると昨年11月のアメリカは食料133.6(日本は101.5)、公共交通料金132.3(同100.2)、電気料金144.1(同105.0)、保健医療149.7(同99.9)、大学授業料198.7(同104.9)、ガソリン306.7(同143.3)となっている(日本の大学授業料は私立大学)。

生活コストが上昇しないとインフレにならない

日本でも、そういった生活コストに関連する品目の値上がりが続いていかないと、全体のインフレ率を2%以上の状態で維持することは難しい。しかし、その場合、賃金もそれ以上に上昇していかなければ実質の生活はかえって苦しくなってしまう。また、民間のサービス価格は人件費をかなり反映しているので、それらが値上がりを続けるためにも、賃金の上昇は必要である。

しかし、経団連は労働組合の春闘での賃上げ要求に対して否定的なニュアンスを発表している。大企業の正規労働者ですらそういう状態だと、中小企業の社員や非正規雇用の人々が賃上げの恩恵を受けられるのはかなり先のことになってしまうおそれがある。

日銀が1月11日に発表した「生活意識に関するアンケート」の12月調査では、「物価上昇」について「どちらかと言えば、困ったことだ」と回答した人が85%もいた。賃金上昇を伴わないインフレは勘弁して欲しい、という人が現実には多いのだと推測される。

日本国民の幸福にとって必要なのは、「賃金とインフレの適度な好循環」が起こるように、日本経済の基礎体力を中長期的に強めていくことと思われる。したがって、政府による成長戦略の遂行は極めて重要といえる。

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