四季報が予告していた野村と大和の株価逆転 3分でできる! 『会社四季報』活用法

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株価は両社とも好調な値動きでしたが、両社の株価を比べると、野村が大和を上回り、ややスピード違反といわれるくらいの株価上昇を遂げました。ちなみに、新春号の矢印は、大和が、「上向き1つ」、野村が「上向き2つ」でした。

この矢印をヒントに投資行動を行った投資家は、現在美酒に酔っているはずです。(美酒に酔うには、利益を確定してからでなければいけないことはもちろんのことです)。

「上向き2つ」の矢印がなくても、株価は大きく上昇する

さて、拓殖大学坂田ゼミナール四季報研究チーム・サプライズ班(リーダー:本田貴志)の協力をもとに、最近活況となった銘柄を紹介します。ここでは3社を取り上げ、短評をします。実は、3つとも上2つの矢印が必ずしもついていないのです。

1つ目はオリエントコーポレーション(8515)です。直近7号を古いほうから順に記載すると以下となります。

「下1つ、下1つ、横ばい、横ばい、上2つ、上1つ、上1つ」です。
この矢印の動きを見るとわかるように、すでに同社は最悪期を脱して復活途上にあることが察知できたはずです。実際に、株価はなんと約4倍になりました。

次に、不二サッシ(5940)です。
過去7号は、「下1つ、横ばい、横ばい、横ばい、上2つ、横ばい、横ばい」です。
同社の株価は昨年11月、70円前後をうろうろしていましたが、住環境関連銘柄への期待から、最近100円台へと大台替わりを果たしました。直近は、やや上昇スピードが速いかもしれません。次の号の矢印が大注目の銘柄の1つです。

最後に、長谷工コーポレーション(1808)です。
「下1つ、横ばい、横ばい、横ばい、横ばい、横ばい、横ばい」です。
同社は直近6回が横ばいになっています。

同社の矢印は横ばいながら、いわゆるアベノミクスへの期待から買われています。金融緩和が、同社の業績に追い風となり次号(春号、13年3月中旬発売予定)の矢印が上向き1つあるいは2つであると多くの投資家が先読みして、一気に動意づいてきたものと考えられます。ですから、次の号の矢印が横ばいだと、期待外れとなり、株価にはインパクトがあることは注意しなければなりません。

やはり、市場(マーケット)は、先読みやサプライズがお好きなのです。多くの投資家が注目している「上向き2つ」だけを投資の対象とするなら、上記3つの大化け株は発見できないでしょう。ぜひ、過去の矢印との比較を行い、想像をたくましくしながら、変化のサプライズを読み取っていただき、投資に役立ててください。 

坂田 善種 ファイナンシャルプランナー 東洋大学講師

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さかた よしたね / Yoshitane Sakata

 中央大学法学部法律学科卒業、同大学商学部会計学科卒業、同大学大学院商学研究科博士課程前期修了(商学修士)。専門は、財務会計・企業評価。大学院在籍時より、大手金融機関の資産運用設計システムの開発業務に従事し、1994年、FP資格取得後、主に富裕層向けの長期・安定的な資産運用設計を行う。投資研究会「シンデレラ株式投資研究会」「シンデレラFX研究会」(ともに現在、定員満席にて新規会員の募集はなし)の主任講師。東洋経済新報社『オール投資』(現在、休刊中)では、「勝ち逃げ」株式投資法を好評連載。業績を重視した低位割安成長銘柄の発掘には定評がある。『会社四季報』の読者歴は、40年を超える。
 


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