都内駅「利用者増減率」トップ50・ワースト50 5年で約10倍も増えたのは意外な駅だった

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青梅〜奥多摩間はローカル線の雰囲気が色濃くなるJR青梅線(写真:ひろ@tokyo / PIXTA)

一方、減少率が高かった50駅の中で注目したいのは、JR青梅線の駅が5駅ランクインしている点だ。

JR青梅線は、2016年3月のダイヤ改正で昼間の青梅〜奥多摩間の電車が45分に1本へと削減され、末端区間とはいえ都内の通勤路線でも運行本数の削減が行われたことがニュースとなった。同線は立川~福生間の各駅では東中神駅を除いて利用者数が増加しているものの、羽村駅から終点・奥多摩までの各駅では、御嶽駅を除く全ての駅で利用者数が減少している。

ランキングに入っている「鳩ノ巣」・「古里」・「日向和田」・「二俣尾」・「青梅」はいずれもこの区間に含まれる駅だ。都内でも人口減少に伴う利用者減が起きていることが表れているが、減便による利便性の低下でさらに利用者数が減ることも懸念される。

地下化で激変、下北沢駅

これとは違う意味で特徴的なのは「下北沢駅」だ。「若者の街」として知られると同時に小田急線と京王井の頭線の乗り換え駅である同駅の利用者数は、両線ともに5年間で約15%減少した。各年度の数値を見ると、大幅な減少は2013年度に起きている。この年に起きた大きな変化は、小田急線の地下化だ。

下北沢駅は、京王線が高架(西側は地上)、小田急線がその下を走る形となっている。かつて小田急線ホームが地上だった際は、両線の乗り換えはわずかな階段を昇り降りするだけで可能だった。だが、現在の小田急線ホームは地下深い位置にあり、地上との出入りや井の頭線への乗り換えはエスカレーター乗り継ぎを強いられるようになった。

小田急線沿線から渋谷へと向かうルートとしては、井の頭線乗り換えのほかに東京メトロ千代田線・銀座線を利用するルート、新宿でJR山手線などに乗り換えるルートが考えられるが、このうち小田急線と千代田線の接続駅である「代々木上原駅」の利用者数は約8%伸びており、利用経路の変化が起きた可能性がある。

また、下北沢駅と同時に地下化された「世田谷代田駅」も利用者数は約5%減少しているが、近隣の京王井の頭線「新代田駅」の利用者数は約8%増えており、井の頭線全体の中でも2番目の伸び率(1番は神泉駅の111.1%)となっていることから、こちらも利用者が移った可能性が考えられそうだ。下北沢駅は現在も工事が続いているが、工事完成後の利用者数がどう変化するかが注目される。

今回のデータは2009〜2014年度の5年間での比較だが、2014年度以降も首都圏では「上野東京ライン」の開業など鉄道をめぐる動きや、駅周辺の大規模商業施設開発などさまざまな変化が起きている。駅利用者数の動向は、変わりゆく都市の姿を表す一つの指標となるだろう。

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