ポール・スチュアート、三井物産になぜ身売り 米国「財政の崖」問題が背景か

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三井物産は1月8日、有名ファッションブランドを展開する米ポール・スチュアート社を買収したと発表した。創業家から発行済み株式をすべて取得。完全子会社化した。

三井物産は1975年から同社製品の輸入販売を開始し、91年には日本での独占製造・販売権を獲得、三陽商会を中核サブライセンシーとして展開してきた。現在、ポール・スチュアートの店舗は百貨店内を中心に国内100以上に及び、日本ではなじみ深いブランドの一つだ。

事業が成り立っているのは米国と日本だけ

日本でこれだけの実績を挙げ、米欧アジアの約30カ国で商標登録をしているポール・スチュアートだが、実は事業として成り立っているのは2国しかない。発祥の地、米国と日本だけなのだ(日本での小売売上高は2013年3月期で約115億円)。つまり、広大な未開拓市場があるということが買収の一つの理由となっている。

それにしてもなぜ完全子会社化なのか。ポール・スチュアートにとってみれば、三井物産に事実上、”身売り”したことになる。

グローバルな商標権を取得するだけなら、そうした契約を結べば良く、三井物産が相手の株式を全部買い取る必要はない。三井物産によると「昨年、ポール・スチュアート創業家から株式取得の打診があった」。つまり、成長する新興国市場を攻略するためには買う必要があったということになる。

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