英国EU離脱で日本は英国以上に厳しくなる 日経平均1286円安、16年2カ月ぶりの下げ幅

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想定外の結果にもとづく足元の金融市場の混乱は、あくまで国民投票という政治的イベントに対するものであり、必ずしもEU離脱に向かう英国や世界経済の悪化懸念を現したものではないというところ。

専門家の中には、英国のEU離脱がリーマン・ショック以上の危機を招くと危機を煽る人もいるようである。しかし、リーマン・ショックは「金融的ショック」であるのに対して、今回の件は「政治的ショック」であり、全く別種のものである。

英国はもともとユーロに入っていない

確かに、英国がEU離脱に向かうことで、EUというこれまでの秩序が崩壊することは事実であるし、キャメロン首相が窮地に追い込まれることで、英国が政治的に不安定になる可能性も否定できない。

しかし、EU離脱とユーロ離脱を同一視してはならない。

英国がユーロ採用国であれば、英国のEU離脱は欧州や世界経済に大きな打撃を与えることになる。しかし、幸いなことに英国は1992年に「イングランド銀行を打ち負かせた男」ジョージ・ソロスに打ち負かされたおかげで、共通通貨ユーロを採用しないで済んでいるし、完全変動相場制を採用している。

英国がEU離脱することで人やモノの移動に制約が加わることを懸念する声が強いが、カネの移動にはもともと制約があり、カネの移動という面においては何も変化がないことは無視されている。

ポンドという独自の通貨を持っている英国は、ポンド下落という為替の調整によって関税等の障壁を補うことが可能である。ここが、為替の調整が出来ないユーロ採用国との決定的な差である。

一部からは、英国のEU離脱が離脱の連鎖を起こすという懸念もあがっているが、ユーロ採用国がEU離脱をする際に支払う代償は英国とは比較にならないものだという現実を考えると、離脱連鎖が起きる可能性は言われているほど高くないと考えるべきだろう。

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