円安に頼る経済政策を終わりにする時が来た 円高で実質賃金と個人消費は増加に転じる

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6月21日に行われた日本記者クラブでの党首討論では、安倍首相は前回の衆院選と同じく有効求人倍率を前面に出して実績を誇っていましたが、これにしっかりと反論できない野党の党首たちも、経済をもっと勉強しなければならないと思います。せめて誰かに「首相はG7でリーマン並みの危機にあるとおっしゃいましたが、確かに実質賃金と個人消費で見ると、リーマン級の危機にありますよね」という切り返しくらいはしてもらいたいところでした。

ただし、ドル円が今のように100円~105円程度で推移している状況が続けば、2016年の実質賃金は間違いなく上がることになります。1.0ポイントくらいの上昇は見込むことができますし、それに伴い個人消費も幾分戻ってくることが期待できます。そろそろこのあたりで、通貨安に頼る経済運営は国民生活にとって恩恵が少ないことを、国民もいいかげん学習する必要があるのではないでしょうか。

適正なドル円相場は95円~105円

私がアベノミクス以降に一貫して主張してきたことは、日本の経済構造の変化に合わせて、行き過ぎた円高や行き過ぎた円安の水準は変わるはずであるということです。たしかに、2000年代初めであれば、私も適正なドル円相場は120円くらいだと考えていましたが、いまや日本経済の構造変化に伴って、行き過ぎた円安は弱者にシワ寄せが偏る性格を持ってしまっています。

そのように考えると、国民全体にとっても、企業全体にとっても、国家財政にとっても、三方一両損ではないですが、ドル円相場は95円~105円くらいが適正ではないかと思っています。そして、そういったことを考慮に入れながら、経済政策や金融政策は決めていかなければならないと強く思っているわけです。

中原 圭介 経営コンサルタント、経済アナリスト

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なかはら けいすけ / Keisuke Nakahara

経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など、幅広い視点から経済や消費の動向を分析しており、その予測の正確さには定評がある。「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評価が高く、ファンも多い。
主な著書に『AI×人口減少』『これから日本で起こること』(ともに東洋経済新報社)、『日本の国難』『お金の神様』(ともに講談社)、『ビジネスで使える経済予測入門』『シェール革命後の世界勢力図』(ともにダイヤモンド社)などがある。東洋経済オンラインで『中原圭介の未来予想図』、マネー現代で『経済ニュースの正しい読み方』、ヤフーで『経済の視点から日本の将来を考える』を好評連載中。公式サイトはこちら

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