教養は「五感の曇り」を消す最大の助けになる 誰しも、自分のことを案外分かっていない
「自分を客観的にとらえる」ことの難しさ
自分に素直になるということは、もう一人の自分を持って、自分を客観的に見ることによって果たされる。自分を客観的に見ることができると、自分の弱点が見えるから、それをあまり出さないようにできる。それと同時に、自分の長所も分かるから、それを上手く出せるようになるのだ。
そういうふうに、自分の長所や短所が分かると、さらにその奥にある自分の素直な思いというものを知ることもできる。自分の素直な思いとは、自分が何に価値をおいているか、ということだ。自分が大切に思っていることは何か。自分にとってのプライオリティが判別できるようになるのだ。
ここまでして気づくのは、人間は、自分のことが案外分かっていない――ということである。それはまた、ほとんどの人間は、自分のことが分かったつもりでいる――ということでもある。
ぼくは30歳のときに、その視点を得ることができた。ぼくを含めた多くの人間が、自分のことを分かっていない。だから、自分のプライオリティも分からずに、自分にとってだいじではないことに汲々としている。いうならば、自分にだまされたような状態であるのだ。
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