結婚も出産もしない自分を救った母の言葉

結婚か仕事、迷うことはなかった

社会人になってからは彼氏の必要性があまり感じられず、大学とは違う毎日に追いつくので必死。こういう考えになるのも、仕事で余裕がないだけだと思っていた。

27歳:結婚か仕事、迷うことはなかった

あれから4年の間に、友人の紹介で知り合った人と付き合うことになった。彼はわたしよりも3歳上。「あまり恋愛向きじゃない」という私の性格に理解のある、まじめな人だった。

交際は2年くらい続き、彼が関西への異動が決まったときわたしは27歳。レストランに呼び出されて、初めてプロポーズというのを目の当たりにした。誰かに必要とされる気持ちはなんだかくすぐったくて、嬉しいと思う。でも彼についていきたい、という気持ちはなかった。仕事が軌道にのって、自分で任せてもらえることも増えたばかりなのに、ここで辞めてしまうことはできない。

友人には形だけでいいから結婚しなよ、とキツく言われたが、紙切れ一枚の契約になんの意味があるのかな?と考えるように。彼が嫌いなわけじゃないが、このときから自分は結婚に興味が無いと認識していた。「一緒に関西には行けない」ことを伝え、遠距離ではなく別れる決断を。結婚をしないのに彼と付き合っていくのは、自分のエゴだと感じたのだ。

27歳は人生のひとつの節目のようで、周りの友達は結婚に向けて着々と動き始めていた。なのに、いつも自分は一歩後ろから眺めている。「子供は早く産まないといけない」という友人の一言には、子供って産まなきゃいけないの?と疑問に思うことも。

当時、こんなことを考えていたのは自分くらいで、わたしっておかしいのかな? と悩んでいた。結婚して家庭に収まっている自分が想像できない。ましてや、自分が子供を産む姿や育てるイメージなんて全く湧いてこなかった。子供は嫌いじゃないし、見ている分には可愛い。でもそれは“自分の子供じゃない”からだった。

両親の離婚経験があるわけでも、ひどいことをされたトラウマがあるわけでもない。ただ子供のときから兄弟がいない分、ひとりでいることに慣れてしまっただけなのだ。

さらに転機は起き、上司からは仕事をもっと任せたいと話がきた。ただし、仕事を任せるからには結婚や出産のタイミングも、これからは意識しなければいけない。サポートをしてもらえる環境ではあるといえ、甘えてばかりではいられないのだ。

考え過ぎかもしれないが、この先ひとりで生きていくなら、27歳のこのチャンスは逃せない。そんな風に思った。

昔から悩んだときは母に相談をしている。しかし、娘が結婚も出産も考えていないという事実を知れば、ショックを受けてしまうのではないかという心配もあった。それでも自分のことを理解してもらいたいという気持ちから、思い切って相談をしてみることにしたのだ。

仕事が楽しいからもっとスキルアップしていきたい。だから結婚や出産を考えていくことは、この先どんどんなくなっていくかもしれない。こういう考えはやっぱり間違っているの?とありのままの気持ちを話した。

このとき、黙って聞いてくれている母が怖かった。悪いことをしたわけではないのに、怒られるという気持ちになってしまう。一通り話し終えた後、母は優しい顔で「間違いなんてどこにもない。それぞれの人生を歩めばいいのだから、あなたはあなたらしくいればいいのよ」と言ってくれたのだ。

後にも先にもこのときの母の言葉がなければ、わたしは自分らしく行きていけていなかったと思う。

27歳、人生のターニングポイントを他の人とは違う道に進んだ一歩だった。

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